第24話
出てきたメッセージをタッチするとメッセージは消えた。そこですぐに[状態]をタッチする。
長谷川 亮
年齢: 25歳
職業: ニート
レベル: 3
体力: 55
魅力: 22
所持金: 31,979,530円
経験値 : 205/502
見慣れた項目。
そして次々とメッセージが現れる。
レベルが上がったためだった。
[レベルアップをしました。能力をアップすることが出来ます。(0/50)]
体力: 55/999 + -
魅力: 22/999 + -
読む必要もなない。魅力に40を投資して、体力にはとりあえず10。今最も重要なのは魅力だ。朱峰が俺をきらっいたのもおそらく魅力値のせいでもある。魅力溢れるイケメンだったら、あんな顔して冷たくしただろうか。魅力の数値は攻略対象の女に近づく上で最も重要な部分に思える。
[レベルアップをしました。能力をアップすることが出来ます。(50/50)]
体力: 65/999 + -
魅力: 62/999 + -
62に跳ね上がった魅力。このくらいなら体感的な認識の変化がありそうだ。12から62ならかなりの変化だろう。もしかしたらと思い、トイレへ駆けつけ鏡をみる。しかし以前と同で、俺が見るには変化がない。
[変身薬]のように俺が見ても変化がなくても、他の人には認識する仕組みだろうか。概ねそんな感じがする。俺は自問自答をしながら[残り時間]に移動した。
[残り時間 : 8619時間]
[経過時間 : 112時間]
[残り時間内に完全クリアできなければ、あなたの本来の体は死亡します。]
112時間。まだ余裕がある。
しかし完全クリアの条件は未だわからない。何をどうするも、攻略を続けてみるしかない。そんな俺の目の前には前回のようにゲームTIPが現れた。ミッションをクリアする度に情報をくれる仕組みであることには間違いなかった。マニュアルのないこのゲームでは非常に大切な情報。
[TIP : このゲームの世界の女はゲームシステムの法則を受けます。あなたの現実世界に同じ女が存在していても全く違う人です。ただし、ゲームの完全クリア時には、特典として好感度80を超えた対象の存在は現実に継承されます。]
やはりここは現実と同じ平行世界だった。ただ、最後のメッセージがどうもひっかかる。好感度の高い人との関係は現実でも維持できるということだろうか。
とんだシステムだと思いながらもう一度指を持っていきウインドウを消した。もし仲が良くなった人ができたら攻略の完全クリアによって関係が切れるのは惜しいと思う。悪くはない情報。俺はすくめながら[アイテム]へ指を動かした。
そして[所持アイテム]を読み込んだ。まず先にすべきことはアイテム強化だ。
[所持アイテム]
[Lv.2 スカウター]
[万能キー]
[睡眠スプレー]
[カメラ]
[望遠鏡]
まずは[万能キー]。
[万能キー][強化1]
[どんなドアでも開けることが出来ます。]
[希望するドアの前に立ってウインドウをタッチすれば使用可能]
[レベルアップで強化が可能です。]
今回も、万能キーに関しては強化可能とのメッセージが出てきた。それをタッチすると次のメッセージが現れた。
[アイテムを強化しますか? 強化費用 : 20万円]
強化2の費用は20万円。ふむ。まあ3千万円も稼いだことだし、俺は特に悩むことなくメッセージをタッチした。
[強化が完了しました。]
[万能キー][強化2]
[どんなドアでも開けることができます。]
[希望するドアの前に立ってウインドウをタッチすれば使用可能]
[残り使用回数 10回]
回数が強化された。使用回数はなんと10回だ。十分だ。6回だったことを考えれば感無量。
これはオッケー、重要なのは武器としても使える[睡眠スプレー]だ。
[睡眠スプレー][強化1]
[その名の通り睡眠スプレー。強力な性能を誇る。]
[アイテムウインドウでタッチした後、対象を見つめればOK。]
[使用可能距離: 2M]
[持続時間: 2時間]
[レベルアップで強化が可能です。]
万能キーと同じく睡眠スプレーも強化が可能だった。そうなると迷いなどない。俺はすぐにメッセージをタッチした。
[アイテムを強化しますか? 強化費用 : 20万円]
万能キーと同じく20万円支払って強化を済ませた。
[睡眠スプレー][強化2]
[その名の通り睡眠スプレー。強力な性能を誇る。]
[アイテムウインドウでタッチした後、対象を見つめればOK。]
[使用可能距離: 3M]
[持続時間: 3時間]
+強化により 持続時間 2時間 -> 3時間
+使用可能距離 2M ->3M
これもまた満足だ。強化の内容も予想通り。予想通りすぎて意外性もなく面白みもない。あ、九空はいつもこんな気分で生きていたのか。急に何故九空が。俺は自分の頬を力強く叩いた。
[所持アイテム]
[Lv.2 スカウター]
[万能キー]
[睡眠スプレー]
[カメラ]
[望遠鏡]
万能キーと睡眠スプレー以外の他の物に関しては強化が不可能だった。だから強化はこれで完了。いざ、アイテム購入のために[アイテムショップ]へ移動。
[Lv.3 スカウター 30万円]
[睡眠スプレー 25万円]
[万能キー 60万円]
[カメラ 10万円]
[変身薬 100万円]
[望遠鏡 70万円]
[ストップウォッチ 3千万円]
[眼鏡 50万円]
[外車 5千万円]
[国産車 8百万円]
[Lv.3 スカウターを購入しますか?]
とりあえず基本的な購入項目である[Lv.3 スカウター]を購入。
そして、新たに追加された[眼鏡]もすぐに購入を決めた。
現在の資金状況からすると、買えないアイテムではない。
むしろ安い方に入る。
[眼鏡を購入しますか?]
購入を済ませ説明を読み込む。
[眼鏡]
[暗闇でも昼間のように明るくしてくれます。]
50万円という金額だけに少し普通だ。1千万円台の[アイテム]が飛び交う中で、あまりに安いアイテムだからだろうか。大して感動も興味も起こらない。使い道は暗い家の中をこっそり入らねばならない時くらいかな。購入と強化に費やしたお金は120万円。3千万円も稼いだから大した金額ではない。どうせ、[アイテム]は攻略のための必要経費だから、ケチっても意味がない。
そこで、俺はもう少し高いアイテムを一度購入してみたくなった。3千万円の[ストップウォッチ]と5千万円の[外車]は無理でも、[国産車]を購入してみるのもいいじゃないか。最初から結構気になっていた。そこで俺は決心し、[国産車]をタッチした。
[国産車を購入しますか?]
どうか、無駄遣いにはならないことをゲームの神様に祈りながら[所持アイテム]に入り、詳細説明を呼び出した。
[国産車]
[アイテムガチャ~!!]
[タッチするとランダムでアイテムガチャが始まります。]
[幸運を祈ります^^]
良いことなのか悪いことなのか、よくわからないメッセージが現れる。アイテムガチャだなんて。こいつら、ギャンブルまで助長するのか。なんだか罠にはまった感じ。しかし、どうせ買ったからにはガチャを引いてみないと。8百万円もするものだ。現れたメッセージを指でタッチすると変な音が流れる。
ティリリロリティロリロロロ~!!
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アイテムガチャ~ 結果は
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ハズレです。またの機会に。
ヴォォォオ! 俺はメッセージに向かって拳をふるった。そうしたところで、空中に腕力沙汰だったが。一瞬にして800万円もの金が消し飛んだ。沸き上る怒りから正気を失った俺は、再び[アイテムショップ]に入り、国産車を再購入してしまった。
[国産車を購入しますか?]
元を取り戻したいがゆえに正気ではなかった。正気に戻った時には全てが終わっていた。いや、今回が本当に最後。1600万円も使ったのにまたハズレだったら、いい加減本当に気が狂いそうだ。涙ま出てきそうな勢い。
切迫した心境で所持アイテムに入る。説明をタッチすると再びあの呪わしいメッセージが現れる。
[国産車]
[アイテムガチャ~!!]
[タッチするとランダムでアイテムガチャが始まります。]
[幸運を祈ります^^]
最初よりも100倍はときめく気持ちで画面をタッチした。どうか頼む!!
ティリリロリティロリロロロ~!!
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アイテムガチャ~ 結果は
[[無形剣]を獲得しました。]
すると今回は何かが当たった。ハズレでなくて何よりだ。安堵の息をつく。当たった[アイテム]は名前が少し格好良かった。[無形剣]。名前ほどの価値はあるだろうか。気になって仕方がなかったので、急いで[所持アイテム]をタッチした。
[所持アイテム]
[Lv.3 スカウター]
[万能キー]
[睡眠スプレー]
[カメラ]
[望遠鏡]
[眼鏡]
[無形剣]
すると[無形剣]という項目が出てきた。物凄いときめき感、心臓が激しく鼓動した。俺は小刻みに震える指で説明を読み込んだ。瞼を半分くらい閉じたまま、慎重にメッセージを読み下す。費やしたお金の額が大きいだけに緊張は100倍だ。
[無形剣]
[目に見える全ての攻撃を無形の剣が弾き飛ばす。]
[ただし、目に見える攻撃のみ可能、予測不可能な奇襲には無用の長物。]
何だか凄そう。このくらいならレアアイテムなのでは。今の俺にちょうど必要な[アイテム]だ。お金を投資した甲斐があった。九空が銃を撃っても弾き返す可能性ができたのだ。俺は嬉しさのあまりしばらくの間[無形剣]の説明を読んで、また読み返した。
なんか頼もしいとでも言おうか。大満足だ。こんな運任せのくじは二度とやりたくはないが、それにしても、凄い物を当てたものだ。俺は幸運の男なのだろうか。ふははっ。
全てを完了させた俺は気分よくベッドで横になった。[無形剣]が九空に対する雑念をある程度洗い流してくれたため、ようやくぐっすり眠りにつけるような気分。さあ寝るとするか。次の攻略対象は目覚めたら探させば良い。
疲れが一気に押し寄せてきて、俺はだんだん深い眠りについた。
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