第10章「初めての外出」
次の朝、私は婦長に再び相部屋か他の個室への移動を懇願しました。
「三日後に相部屋の患者さんが転院するので一つ空きが出ます」
これは朗報です。心の中で私は飛び上がりバンザイをしました。
しかしあと三日もあります。
ロイド眼鏡の男は私を殺そうと今晩も出てきます。
どうすればこの三日間を乗り切れるのか?
私は上半身を起こしました。
全身に激痛が走り呻き声が出ます。
そしてゆっくりと両足をベッドの下におろし、ギブスのない右足にスリッパを履きました。
立てかけていた松葉杖を抱き寄せて脇に挟み、財布を持ちながら個室のドアを開けました。
エレベーターのスイッチを押し四階から乗り込むと一階のスイッチを押しました。
初めての外出です。
午前中の混雑する一階の受付前を通り、人ごみに紛れたため看護婦に見つかることもなく外に出ることが出来ました。
顔に包帯を巻き、しかも松葉杖でヨタヨタと歩いているため、道を行きかう人たちにギョッとされながらもひたすら歩きました。
そして病院の裏にある店に到着しました。
そこは……
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