次なる魔洞地脈
◇◇◇◇◇◇◇◇
その頃。西大陸のどこかにある洞窟にて。
先の戦闘にて、またも大打撃を喰らったヴェリタス。その躯体は膝をつき、その洞窟の奥にあるナニカに跪いていた。
『それで、また負けた、と。
私がアレまでお膳立てしたというのに、よくもまあ』
『申し訳ありません、ゼイン様』
『———いや、もういい。ヴェリタス、君に期待することはもうない。
強化改修用の装備は回す。その機体も、まだ完璧ではないだろうと思ってな。
……しかし、もう完成するんだよ、ヴェリタス』
『———は』
ヴェリタス。その頭部が、より上を見上げる。
洞窟の奥、そこにあったのは———ただ1機の、サイドツー。
『見てくれたまえ、私の機体……オーバードライブ・ゼロ。
もうじき完成だ。ようやく私も、この魔洞地脈の奪い合いに参戦できる』
『参戦なさるのですか?』
『無論、当たり前だ。何せ、『フォートレス』の起動に必要な魔洞地核は、計2つ。
それを揃えるためにも、だ。
全てはこの私、ゼイン・エクスキューショナーの悲願達成のため。
———ああ、反旗を翻そうとしても無駄な事は理解できてると思うが———』
『忠誠を誓った身です』
『……そうか。まあ、この機体があれば、他の全てを凌駕できる。
フルスペックのアイドレ、ヴェリタス……それらは共に『最強の機体』をコンセプトにされたものだが、その両機はスペック上では同じものだ。
メズマライズド・アイドレ、フォーリン・ヴェリタス。機体性能は五分と五分。勝敗を分けるは、パイロット次第。
だがコレは違う、この私は違う!』
その発言の後、その奥の機体———オーバードライブが、その目を覚ます。
そのツインアイは禍々しくも、紫色に輝いていた。
『この機体は、全てを統べる機体。オーバードライブ、オーバーライド。
決して誰とも対等とは言わせない、この私だけの……頂点に座する機体だ。
君にも、アイドレの主にも……負けることは、あり得ないよ』
『そうですか』
『分かったら、早く姫君を捕えるんだ。
刻ノ神。ヤツの完全なる制御の為には、アレが必要だからね。
もはやアイドレ自体は必要ない。さっさと殺せ、そのパイロットごと』
『———承知……しました』
ルプスたちが新たな旅路を定める中、暗躍する影がいた。
魔術世界。またの名を、魔術至上主義。
———その、魔機科学融合科。
彼らの目的は未だ、謎に包まれたままである。
◇◇◇◇◇◇◇◇
この時、さまざまな勢力が動き出していた。
新機体を用意した魔術世界。次なる目標を追い求めるルプス一行。
それとは別に、各々が夢や希望を追い求める傭兵に、そしてランバルスとスルーズの二大勢力。
その最中、彼らの次の目的、目標は、ほぼ1つに集約されていた。
その目標は、次なる魔洞地脈。
この1日後、突如活動を開始することになる、2つ目の魔洞地脈であった———。
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