第25話 適当に見繕った男#2
初デート君としては大いに待望していたにも関わらず、「またね」が実現することはなく、
やがて、彼ににわかに訪れたモテ期も去っていった。
アマリリスはその後、相手を変えて2,3人試してみたが、結果はどれも似たりよったりだった。
デートの前にせよ後にせよ、フッた相手のほとんどが、実に潔く引き下がることも、(自分でフッておきながら)アマリリスには不満だった。
考査局の局長とやり合った一件が畏怖を伴って彼らの間に流布しているのかもしれない。
だとすればなおさら、さざなみのように言い寄ってきては、彼女のそっけない一言で返す波となって引いてゆく男共に、
アマリリスは呆れたような幻滅を禁じえなかった。
仮にも女を口説こうと、それもこんな超絶美少女を前にして。
岩をも穿つ怒濤の情熱でアピることもせず、お前たちは一体何しにこの世に生まれてきたんだと言いたくなるが、
その実彼らは当たって砕ける気負いすらないときたもんだ。
これならまだしも、我欲のためになりふり構わぬ局長のほうが見所があると思えてくる。
全く、ラフレシア人の男ときたら、、そういう言い方は国際関係的に物議をかもすので言い直すなら、人間の男というものは煮え切らない、そしてどうにも人間くさい。
それは一重に、彼らの善良な資質、相手に対する気配りであり、穏健なやり方で歓心を得ようとする努力であり、まさしく人間らしい暖かな心の発露に他ならない。
それなのにアマリリスは、アマロックとの関係では切望していたはずのそれらを、どういうわけか疎ましく思うようになってしまっていた。
まぁ、実際はもう氷の乙女(=処女)ではないんだし、そんな勿体つけて売り惜しみせず、
多少気に入らないところがあっても、とりあえず寝てみてから考える、でもイイんじゃないかなとも思いつつ。。
考えここに到ってアマリリスは、自分が男女交際=情交、それも包摂の関係ではなく、
必要十分的に等価なものとして捉えていることに気づいて愕然、
とまではいかないにせよ、なんともバツの悪い思いを味わった。
だって、忘れられないんだもん。。
快楽も行き過ぎれば苦悶と区別がつかないほど、憔悴しきって、それでも、
とめどなくこみ上げる愛欲は尽きることがない。
身も心も蕩けきって形を無くしたような感覚、それが、アマリリスが知る異性との関係の唯一にして全てだった。
こっ、こんどは、ほら。
人間が相手なんだから、ソレだけじゃなくて、アイとか、ココロの通じ合いとか色んな前座が、、
・・・あれ?
あたし、そんなのめんどくさい、とか思っちゃってる??
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