第23話 誰かと呼吸を共にする女

「モッタイないし、ソンしてると思うなぁ、そういうの。」


少女たちが悪びれないお節介、もとい、親切心からの忠告を与えてくる。


「お友達のカンケイが深まって恋が芽生えるとか、

カン違いから始まる恋愛関係とか、何でも。


まずは出会いがあって、相手のことよく知ってみないと何もわからないでしょ?


それで、ああこの人は私のことそんな風に思ってるんだぁ、って知って、

次第にキモチが惹かれていく、みたいな。


恋って、よしこの人と恋してみようか、って動き出すもんじゃなくて、

なんていうか、気がついたら落ちているものなんだぞっ、ヒメ

こんなに美少女なのに、真実の愛を知らないなんて悪よ、悪。」


どうやら彼女たちにはアマリリスが、超絶美少女として孤高の存在に自らを閉ざし、

故に恋愛の何たるかを知らず、その歓びを想像してもみない、氷の乙女のように見えているようだ。


なっ、そんなことないわよ、あたしだって真実の愛とやらを、、と言いかけて、

それを言ってしまったら、その”愛”がどんなものであったかを話さないわけにはいかなくなるだろう、

と気づいて思いとどまった。

そして、やっぱり大昔ウィスタリア時代にもこんなやり取りがあったな、と気づいた。


――あれから、あの時の自分と同一人物だとは思えないくらい、自分では変わったように思っている。

けれど他人からは同じように見えるのだとしたら、、たしかにあたしは変わり方を間違えてきたのかもしれない。

人生が旅なのだとしたら、もっと別の道を選ぶべきだったのかもしれない。


これまでに辿ってきた、過去の道筋はもう変えられない。

けれど未来は、この先どんな道を進むのかはこれからの自分次第だ。

相手のことをよく知って、相手が自分のことをどんな風に思っているのか興味を持って、

そういうあたしもアリなのかもしれない。


なにせあたしはもう、魔族の嫁ではないのだから。

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