13 チュパカブラハンターの章

※この話は前作【蝉と少女】のその後の話である。


13・【蝉と少女】チュパカブラハンターの章


淡路国建国元年あわじこくけんこくがんねん


 「ただいまー、カステラいただいてきたよー君の好きなコーヒー牛乳も買ってきたよ、食べよう♩食べよう♪」


朝から雇用主の島長に呼ばれてた彼女が昼前には帰宅してきた、玄関から入ってきた彼女は何故か懐かしく感じた。

彼女は私を見、微笑んだ、機嫌が良さそうである。

島長からお土産に貰ってきたカステラとコーヒー牛乳を飲み飲み食いながら、呼ばれた内容を聞いてみた。どうやら最近島各所に出没するチュパカブラと言われる生物の調査兼捕獲を依頼されたようだ。

「本当にいるのかなチュパカブラ?チュパカブラて宇宙人が置いていったペットて噂の未確認生物だよね」

私はぽつりと呟いた。

「おじいちゃんは夕方まで墓地の掃除をしてたら一回だけ見たと言ってたけどうなんだろう?」

「現れる場所は見当ついてるの?」聞いてみた

「長の話だと家から南にある牧場がたびたび被害に遭っていて3日前も朝方、飼育してる牛が全体の血を吸われたような干からびだ死体で見つかって牧主が被害を島内会に届け出たみたい。島内会の会議で放置できないと言う事に決まって、帝憲(警察)の前に島内会で解決しようと考えたみたい。で前に悪さした大猿を捕まえた実績のある、私に話が来たの、賞金10万」

「で引き受けたの?」

「勿論、面白そうじゃん、君もいるし」

「俺、怖いな」

「そう言わずにやろうよ、ね、ね」

迷ったが私は残りのコーヒー牛乳を一気に飲んだ爽やかさを弾みに渋々了解した。

「出るのは満月の夜の日が多いみたいだから、今日6時に家出発して牧場に張ってようか」

彼女はヘルメット、鎖帷子チョッキ、厚手の手袋、皮のブーツ、縄と猟銃2丁を納屋から出してきた

「生捕だから銃は使えなくない?」と私は聞いた。

「最悪の場合の保険よ、噂ではチュパの体は子猿位小さいから2人で抑えればなんとかなるわよ、注意するのは牙と爪みたいね、危険度は猿と同じかな~島長の話だと頭は猿より賢いみたいで罠はほとんど仕掛けても無駄みたいね。」

爪と牙あれば十分危ない生物だよと思った。

「今から銃の使い方、縄の使い方、教えるから」

「免許いらないの?」

「この島は島長の許可が出れば特例でいらないわよ、身内でもいいから、銃の扱い方わかる人に講習受ければ問題ないみたい、私もおじいちゃんに習った、だけだから、君でも撃てるよ」

この後、実際に銃を撃たしてもらった、引き金を引いた時の爆音と強い衝撃はあったが撃てるには撃てた、注意点としては前方の視界180度にお互いに居た場合、絶対に撃たないようにとの事だった。

(要するに銃を撃つ場合、どちらかは銃を構えた人の後ろにいなければならないという事である)ロープは昔からカウボーイが使う、投げ縄結びと呼ばれる物だった、ロープの先を輪っか縛りし引っ張れば輪っかが締まるやり方である。

夕方、彼女のバイクの後ろに乗り牧場に向かう、

あれ?いつも遠くに見える山の中腹の廃城が綺麗なお城になってる🏰

いつの間に直した?

程なくして牧場に到着。

まだ牧場の売店は開いていたので挨拶に伺った、

依頼の内容は島長とほぼ同じだった。

牧主は私達にソフトクリームをご馳走してくれた🍦

ミルキーで甘かった、私は彼女の胸を眺めながら

私はフッと女性の母乳はどんな味がするんだろうと思った、彼女の胸に視線を流した。

彼女の感は恐ろしく感度が良い。

「何、胸見てんのよ、知ってる?母乳も牛乳も血液で作るられるみたいね、よく吸血鬼て騒ぐけど人間も同じよね……そんな物欲しそうな顔しても私は妊娠してないから出ないわよ、出るようになったらお酒で割ってみる?助平さん」

と言って舌を出して私のソフトを一舐めした。

程なくして牧場内の見晴らしが良いところにニンニクとキムチを腹に仕込んだ匂いを発する鶏肉1匹分を囮(おとり)に置いて、そこから25メートル程離れた場所で牧場の売店で買ったアンパンと牛乳を頬張り飲みながら身を低くして私たち小隊はチュパが現れるのを張り込むことにした。彼女は途中で重いと言ってワンピースの上に着込んでる鎖帷子を脱いでしまった、大丈夫なんだろうか?

ワンピースの上に鎖帷子もかなりヤバい人に見えたが……

牧場の草原は微風で揺れている……

夜7時ごろ満月の光で薄明るい暗闇で囮の肉に近寄る赤い眼が光る猿のような物影が見えた、彼女は懐から出した小さい望遠筒で確認した。


「奴よチュパカブラだわ」と囁いた、


「私が先に行くから君は後ついてきて、私がロープを外したら君が続けて投げてそれも外れたら今日は運が無いと思って諦めよう」

と小声で囁いた、私は相槌を打った、彼女は先端を輪っかにしたロープを構えながら、低い姿勢でゆっくりチュパカブラに近づき、私は少し距離を取って後ろを中腰で縄を構えて後ろをついていく、彼女が輪っかをチュパに投げた!

首に縄は掛からなかったが腕に掛かったみたいで縄を引っ張りチュパの腕を締めた!その瞬間、チュパは彼女に向かってジャンプで突っ込んできた!彼女の頭にチュパの上空からの降下キックが決まった!バッキット!と骨が折れたよう音がして彼女のヘルメットが後ろに跳ね飛んだと同時に、

「ぎゃふん」

と彼女は声を上げて仰向けに倒れてしまった。

(隊長ー!)

そのままチュパが縄を垂らしながら今度は私に突っ込んできた!

私は慌てた横に飛んで地面に転がった、ど同時に後ろで、

バーンー💥と銃声が聞こえた彼女が何と復活して撃ったのだ!

話が違うよ180度法律はどうなった!

「コッチきて早く!私の後ろに張り付いて!もうチュパ殺すから、思ったより危険だから」

と彼女は言うので私は慌て彼女の方に走っていった!

「チュパが追いかけてきたよー」

と彼女が叫んだと同時に私の銃を背負った背中に衝撃が走った!

チュパキックを食らった!

「伏せてー!」と彼女が叫んだ。

私は訳わからず背中の痛みを我慢しつつ、泣きそうになって頭を押さえて、そこに伏せた。

「キャハハ」

バーンー💥

彼女は私が地に伏せてるとはいえ、また撃った!それも笑いながら(涙)

チュパまた空にジャンプした!

彼女が直ぐに叫んだ「受け身取ってー」

私も銃を横にして受け身体制を取った!今度は彼女の方に降下キックが飛んでった!

ガッキー!と鈍い音がし彼女はチュパの上空からの蹴りを銃を横にして受けた!彼女は続けて繰り出されるチュパの爪攻撃を銃を横にして受けてる、ガン!ガン!ガガン!

チュパは空に飛んだと思ったら3秒もしないで降下キックしてくる。降下時間が異常に早い、空間を壁みたいに蹴れるのか?やはり地球の生き物ではない気がする、彼女もチュパを猿の亜種程度に考えた時点で最初の1発食らう運命が決まったのだろう……

銃に弾は2発しか装弾できない、彼女は銃に弾を込める暇がない!

私の方向から撃てない、チュパと接近戦闘中の彼女に当たる可能性が十分ある。『どうする?』

彼女は冷静に私に指示した。

「私、君の方に飛ぶから!君の銃、私に向かって投げてー」

と彼女はチュパの爪を受けながら体の向きを私の方に入れ替え、スキを見て銃の柄でチュパの腹を打ちチュパが一瞬怯んだうちに、こちらに飛び込んできた!

彼女のジャンプ力も人間の物では無い高さだった!

私しは彼女に向かって銃を投げた!

彼女は空中で銃をキャッチするとクルッと満月を背にポニーテールとスカートをひる返しながら回転しチュパの方に向きを変え空中で飛んで追いかけてくるチュパに向けて素早く銃を撃った!

バーン💥満月の星空に火花が散った!

その後、直ぐに

「ギャン!」と獣声がした!

上空でチュパの身体の一部が吹き飛んだのが見えた、

チュパカブラは「シャォーーー」と叫びながら地に落ちた。

ドッサ!

火薬の匂いが周囲に充満し戦場に来たみたいである。

「当たった、当たったよーやったー」と

彼女の歓喜の声が上がった!

白いワンピース姿で頭から血流して猟銃待ってケラケラ笑ってる。

彼女の姿は怖かった……狂気の美しさである。

彼女はチュパカブラに駆け寄り縄で手足を縛ろうとした、チュパはまだ生きていて暴れていた、片足は吹き飛んでいた。

「君!足抑えて早く」

私は泣きそうになって、暴れるチュパの片足を抑えた厚手の手袋でも結構爪が食い込んで痛かった、彼女は「やり難い」と皮手袋を脱いでしまった、彼女は顔も手も血だらけで目が異様に輝いていた、彼女は躊躇なく暴れるチュパカブラの手足を後ろに一つに縛り目隠しをして口に木の棒を噛ませ縛って固定した、流石SM愛好家である。

「ほい、ミッションコンプ」と言ってすかさず持ってきた檻にチュパを放り投げて鍵をかけた!

「前方に人いたら撃たないって話だったジャン危ないジャン!なんで撃ったの?」と私が半ギレで彼女に言った、

「ごめんごめん私も頭から垂れてきた血見たら興奮しちゃって、いや~危なかったね、君を連れてきて正解だったよ」と笑って、地べたに腰掛け胸ポケからタバコを出し満足した顔でタバコを蒸した、その姿を見てこの人はソルジャー務まるなと思った。私も貰って吸った、やっと落ち着いてきた。

私に弾が当たったらどうするつもりだったんだ、彼女はやはりアバウトだ。


気になるので私は彼女に聞いた


「何か首の骨、折れたような音したけど大丈夫?死んだかと思ったよ」


「……心配してくれてありがとう、女の子って結構頑丈なのよ、君を1人にできないと思ったら直ぐに治ったわ」と首を鳴らした。


大丈夫そうだ、安心した。


朝になったら彼女はチュパカブラを島長に引き取りに来てもらい賞金をゲットして、

「はい君の分」

と危険な目に合わしちゃたからと7万くれた、彼女は島長に私を紹介してくれた、島長(しまちょう)はアルビノらしく髪、皮膚、瞳全てが真っ白である、虫も殺せないような性格の優しい翁であった。

しかし今回みたいな仕事はもうコリゴリである。

後にチュパカブラは生体検査した後は毒は無いということで食べることになった。一つ気になったのは島長の話だと内臓の中から小指位の受信器らしき物が出てきたということで、これについては引き続き調査するとの事だった……

数日後、島長の計らいで私は島民と一緒にバーベキューをし、その場の余興で島長が冷凍してあったチュパカブラを子豚の丸焼きみたいに焼いた、彼女はチュパカブラの生殖器を棒で突っついて、

「チンチンブラブラソーセージ♪」と歌ってニヤニヤしてた・・彼女の悪い癖である。

その場に島の人で綺麗な人や可愛い人も来てたが彼女の眼が光ってるので話しかけられなかった。その中に1人、彼女に顔が似ていて身長は彼女より10cm位高く175位はある黒いワンピース姿の女性が気にはなった、彼女の親戚だろうか?話かけて見たいが彼女の目が光っている……チャンスは訪れた彼女がトイレで席を立った!

その隙に、長身の女性に

「こんばんは」と話しかけてみた。

相手の長身女性は

「こんばんは、横座りますか?」と横の席を摩る素振りをした、私は横に座り

「島の方でよね」と聞いた。

「そうよ子供の頃からよ君は最近越してきた人ね」と言って爽やかな含み笑いをしニコリとした、

私はそれでスッカリのぼせてしまった!

それからしばらく彼女と時間を忘れて世間話しをしてたら、後ろから

「おねいちゃんと何話してるの?」と声が聞こえた、後ろを観たら彼女がキョトンとした顔で立っていた! ヤバいスッカリ忘れていた……

「あ、いや、チョット」と私は焦ってしまった

「チョット何ー?」と返された。

彼女のおねいさんは場を察して

「あー妹の噂の彼氏ね、ホホホ」と言って彼女に向かって

「良い彼氏できたじゃない、仲良くしなさいね、彼氏さんも妹を宜しくお願いしますね」と言ってその場から立ち去ってしまった。

彼女は姉が立ち去った席に無言で座り私たしの方に振り向き

「あー蚊と言って」私の頬を結構強めに叩いた!

「あ、イタタ、何か誤解してるよ少し世間話しをしてただけだよ」と言った。

「どうだか少し隠れて様子見てたわ随分お話しが弾んで楽しいそうに見えたけど?よりに寄って姉と……中々カマしてくれたわね、まぁいいわ最近君に甘くし過ぎた、私もイケナイワケダシー再教育が必要ね後でアレね」

と言って家まで一言も喋らなくなってしまった、その晩私は彼女にベットでチュパカブラ並に・・読者の想像に任せます……少し話がズレたので時間をバーベキュー中に戻します。


焼き上がったチュパカブラを皆んなで食べてみたら、なんとも言えない桃の様な風味の香りがしてソース無しで食べれるほど非常に美味かった、禁断の肉である。チュパのアレは誰も食べないので彼女がソーセージとゆで卵を食べるように食べてしまった…ソーセージは少しの間、アレみたいに咥えて周りの笑いを誘っていた(怖汗)その後、家畜の被害は激減したが、たまに被害が出た、まだ数匹残ってるみたいだった。

後にして、よろず屋の店主の話しで、知った事だが、彼女の祖父はチュパカブラを過去に捕まえたみたいで、試しにチュパカブラの肉を焼いて食べたら非常に美味かったので囲碁仲間のよろず屋の店主に少し分けて後は1人で酒の肴にしてコッソリ楽しんでいたようだ、前に地下の冷凍庫で私が見た謎の肉はワニではなくてチュパカブラの肉だったのだ。

彼女もワニの肉だと思っていたらしい。島内会のバーベキューの宴は私と彼女が帰った後も朝方まで続いたそうだ・・私は朝方まで、あの地下室の悪夢の再来、いや、それ以上の物と戦っていた……

[終]


【廃教会の章】へ続く

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