第41話 夏休み明け

☆☆☆新学期


自分の宿題を完璧に終わらせて、夏休みは終わり登校日になった。あー眠い。眠いが……


「先輩~~~せんぱいせんぱい。せ~んぱい~~~~~~わぁ~~~」


まぁ最高に可愛い彼女がいれば眠気なんて吹っ飛ぶんだ。


俺の腕にしがみついてくる。あーかわいい。


「前はいっつも私置いていくんすもん~彼女になった途端先輩ずっと私のことしか見てないっすよね」


「そりゃ、前は付いてくんなって思ってたけどさ、今はずっと付いてきてほしいって思ってるから……しっかし、なんでこんなかわいい子放っておいたのかさっぱり分からないな」


「か、かわいいって……も~~~せんぱい~~~」


そういいながら腕に抱き着く力が増す。胸はないが最高だ。


「ずっと思ってたけど京都って動物に例えると犬だよな」


「犬っすか……っは! わんっわんっ!」


……可愛すぎるだろ。我慢できなくなって頭を撫でる。


「くぅ~ん……わんわんっ! わんっ!」


「京都辞めろ。俺の理性を壊す気か? 今すぐ学校さぼってデートしたくなるだろ」


――本当は今すぐ押し倒して胸揉みたいけど、我慢だ。


「いいんすよ~学校さぼっても~~~」


「と言っても今日始業式とかHRだけだろうし、学校終わったらデートしないか?」


「え、先輩それってデートの誘いってことですか?」


「デートって言ってんだからそれ以外ないだろう。放課後デートってやつだ」


「そ、それはいいんすけど……先輩とデート……先輩が誘ってくれたんすよね、それって先輩が私とデートしたいってことなんすか……」


なんで聞いてくるんだ?


「うん。だからそういってるじゃん。京都とデートしてイチャイチャしたいんだよ。頼むよ」


「先輩。私のこと好きっすか?」


「あぁ大好きだぞ」


「うへへへ~~~~せんぱい~~~~うへ、うっへへへへ~~~~」


すると京都はにやけだす。


「せんぱい私のこと好きなんすねぇ……耳元でもっと言ってほしいっす……」


「京都。大好きだぞ」


「もっとっす」


「京都。愛してる」


「うえっへへ~~~せんぱい~~~」


「京都愛して――京都! っがぁあ!」


しまった! 周りが見えなくなっていた。気付いた時には咄嗟に京都を突き飛ばすしかなかった。


俺達は横断歩道を渡っていたが、信号無視してきた車が俺達の元に――


あ……これは……京都が危ない!


「え、先輩!?」


どんっ! と重たい衝撃が身体に走る。


「っぐ……」


車は止まったが、救助活動もせずにそのまま走り去ろうとした。


「――おい待て」


怪我自体は大したことはないので、すぐに起き上がりトランクを掴んでドアを開ける。


「ひぃ!」


「……俺一人だったら見逃したけど、今回お前は京都を巻き込んだうえで、ひき逃げ? おい……なんで逃げようとしたんだ?」


そう、別に俺がいくら轢かれようが痛いで済むが、京都に危険が及んだことだけは見過ごせない。


「ごめんなさい~~~!」


「俺じゃないだろ。京都に謝ってくれ……もし京都に何かあったらお前……どうなるか分かってんだろうな? 京都は俺にとって何よりもかけがえのないモノなんだよ。それをお前の不注意で失われる事態に陥ったら……」


「せんぱい! せんぱい! 私無傷で生きてるっすから! 落ち着いてください……車体が曲がってますからぁっ! あーーーーせんぱい~~~~」


結局。いろいろあって学校には遅刻した。


〇〇〇悩み


「札森さん。札森さん。札森さん! あの先輩と付き合ったって本当なの!?」


宮藤さん。夏休み明け久々に会ったっす。と言うのも夏休み後半は先輩とずっと一緒に居たから遊べなかったのもあるんすけど……


「おかげさまで、付き合うことになったっす! ありがとっす宮藤さん!」


宮藤さんが協力してくれたおかげで、先輩が告白してきたと言ってもいいっす。


あの私服だって普段私が着ることなんてないっすし。でも何回も可愛いって言ってくれて、お世辞だと分かっても嬉しかったっす。


「それでお付き合いは順調なの? キスした?」


「キキキキキキキス!? し、してないっすよ。でも、先輩が優しすぎて……いや、怖いくらい優しくて、今日もそれで、先輩私庇って車に轢かれたんすけど」


「え、先輩さん大丈夫なの?」


「あ、夏休み中全身骨折が治ったんで大丈夫っす」


虎徹さんとの果たし合い以降先輩は更に強くなったっす。以前の先輩なら車に轢かれれば骨折や脱臼があったと思うんすが、今はそんなこともなく無傷でした。


「全然大丈夫じゃないじゃん!? え、全身骨折ってなにしたの!?」


「大丈夫っす。先輩は最強っすから! ただ……その、先輩私のこと好きすぎて少し怖いって言うか……」


「まさか……体を迫ったりとか?」


「違うっすよ。先輩は無理やりしてくるとかないっす。キスしたいとは毎回言ってくるっすけど……なんか、そのひき逃げしようとした人に怒ったのも、先輩が轢かれたことよりも、私に危険が及んだことの方にブチギレてまして……私止めなかったら車ぶっ壊されてたんじゃないかと思うくらいなんすよ」


「う~ん。でも大好きな人に危険がせまったらそれは怒ると思うけど……先輩ほんと何者?」


「私が思う最強の彼氏っす! だからこそ、その、私も先輩に何かしてあげたいんすけど、私どうしても、先輩と恋人らしい行為するとなんか……変になっちゃって……」


そう、先輩がキスをしたいと言ってきてくれたのは嬉しかったっすのに、結局拒否しちゃってて……


「札森さんは先輩さんとキスしたいの?」


「そ、そそれは……」


ここで嘘を言っても意味ない……


「先輩とキスとかしたいっす……」


言っちゃったぁぁぁあ~~~~~

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