襲撃3
校庭で翔達が戦闘を行っていた頃、猪尾は別の昇降口を守っていた。
「ユピテル何が起きるかわかんねぇから燃費は程々にな」
猪尾の意気込みに答えるように集団で迫る小鬼を雷の一撃で吹き飛ばす。
「程々って…なんて脳筋眼鏡」
何か不満が?と言いたげに視線を向けられてたじたじになる猪尾。
「何でもありません…」
翔達が戦闘しているからか敵は少なく玄関側へ行こうかと思っていると河内が先にやってくる。
「猪尾、敵はいるか?玄関には来なくなってな…」
「翔っちがボスの足止めしてるからじゃないか?オレらも行くか?」
そんな二人は背後からの大きな足音に気付き振り返り驚愕する。
「蜘蛛!?」
「こいつは牛鬼…浮世絵かなんかで見た事があるな」
牛の頭に蜘蛛の体をした魔物だった。
「博識ー、河ちゃん名前知ってるなら特徴も分かる?」
敵が二人を観察している事をいいことに雑談のように話す猪尾。
「すまん…そこまでは」
困惑する二人をニタニタと笑いながら牛鬼が紫の煙を吐く。
「っく、毒か!ウィル!」
河内は槍を掲げて精霊の竜を呼び出し毒霧を羽ばたきで霧散させる。
「よっしゃナイス!こりゃ相性いいな!ユピテル!オレらも全力だ!」
猪尾も斧を構えユピテルの雷で牛鬼を怯ませ額に斧を叩き込む。しかし必殺の一撃とは行かず牛鬼は後退を始め校舎の上に登ろうとする。
「うわ、かってぇ!」
「上なら任せろ!飛ぶぞウィル!」
竜が鳴き人が乗れるサイズまで大きくなり河内が跨がり飛ぶ。猪尾は友人の勇姿に感激と羨望の声を上げる。
「うひょー!スゲー」
ウィルが牛鬼を掴み空から落とし河内がそれめがけて槍を突き立てるように飛び降り頭に深々と槍を突き刺す。
牛のよな鳴き声を上げて牛鬼が倒れ魔石になると同時に体育館から大きな音が鳴り響く。
「やべ!中に入られたか!?」
「っ、大物がまだ残っているみたいだ!西園寺と皆が危ない」
二人は急ぎ音のした体育館の方に走り出す。
…
それより少し前、避難を行い体育館がいっぱいになっていた。
そこを西園寺が体育館の入り口近くで体育館を覆うように攻撃を守るようにバリアを張っていた。
「なんとか一ヶ所に集まれたわね…ナゴエル、バリアは何時まで張れそう?」
猫の鳴き声しか出せなくなっているナゴエルは少し弱々しく鳴く。
「うわー、早く片付けて欲しいなぁ」
以心伝心でナゴエルから長持ちしないと感じ取った西園寺は半分泣き言を言う。
「難儀ね、私達以外に戦える人いないのかしら」
ナゴエルから余所見するなと注意の一鳴きに撫でたい衝動を押さえながら答える。
「はいはーい、ちゃんと警戒しますよー」
ざわつく体育館内で先生が警察がもうすぐ来ると説明をして生徒達を落ち着かせていた。
「警察ねぇ…その前に浜松や河内が敵倒してそうだけど」
聞こえてきた声にぼやく西園寺に一人のピシッと整った制服の白髪の女子が近付いてくる。
「ハルさん、外の様子は?」
「あら?…貴女は?」
女子は錫杖を呼び出し深々と礼をする。
「
「あ、姫様の…すっかり馴染んじゃって名前まで」
世間話をする余裕を見せる西園寺に釣られ
「あはは、カナリさんのおかげで…それより敵は?」
「んー、浜松達が対処してるしもうじきカタがつくんじゃない?」
笑う西園寺を見て安堵するミナ、そこに先生がやってきてミナを呼び出す。
「周防君、生徒会長として生徒達に励ましの言葉を頼む、落ち着かせてやってほしい」
「わかりました、任せてください」
そそくさと去る無責任な先生を西園寺は軽蔑の眼差しで見つつミナに話しかける。
「あ、生徒会長だったんだ、ごめん記憶抜けてて…」
「気にしないで、それより今はやるべき事をやらないと」
油断していた二人だったが直後ズシンと大地が揺れて体育館の天井が凄まじい衝撃音と共に破壊される。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます