第11話 世間のことを気にしないとね

店に向かっている途中公園で遊んでいる子供がいた。


「いつも来てくれるお姉ちゃんだ!ちょっと見てよ!」


「ん?何を?」


「お父さんの部屋にあった本を見て練習したんだ!『ファイア』!」


少年の手からすぐに消えてしまいそうなくらい小さな炎が出た。


「おぉー、この年で出来るってすごいよ!」


「まだ全然だけどね。お姉ちゃんもやって見てよ。」


「あ、うん、その…私やることがあるからまた今度でいい?」


「えー、わかった。絶対だよ!」


私は少年と別れた。


あーあ、嘘ついちゃった。私魔術一つもできないんだよね。まぁしょうがないんだよ。私学校行ってないもん。行く前に捨てられた。ガゼルさんに拾われても迷惑をかけると思うから口にしていない。


少し歩くスピードが上がる。


誰にも話してはいけない。だって学校は基本全員が行くもの。行かないのは名家のごく一部の人だけ。私は違う。もし言ってないことが知られたらどうなるんだろ。周りから冷ややかな目で見られたり店にも迷惑がかかるかもしれない。世間のことを気にしないとね。


店に着いた。さ、気持ち切り替えて働きますか。


「ただいま戻りましたー。」


「む。」


「え?誰?」


店の中には鎧を身につけている人が1人で座っていた。ガゼルさんじゃなさそう。ほんとに誰?

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