匂いと臭い
ハム
嗅いでみてよ
とある、配信者が言っていた。
「学校は地獄みたいな場所だけど、唯一楽しいことは恋愛。学生は恋愛をするべきだ」
“それ”は、いつも頭の片隅にいて陰のように付き纏う
地獄から抜け出せば、必ず幸せになれると思っていた。雨が降った後には必ず虹がかかると思っていた。でも、それは間違いだった。
必死に勉強した中学時代、要領の悪さを補おうと必死になって病んで泣いて過ごした。
でも、「人生プラマイ0」って言うから、
だから、苦しんだ分高校では幸せになれるんだって信じて依存した。
そんなものは夢物語だったけど、高校生活も悪くはない。
学生は恋愛をすべき。学生は恋愛をすべき。学生は恋愛。学生は恋愛。学生は恋愛。
この言葉さえ知らなければ、今はきっと幸せ
別に、恋愛経験がないわけではない。
そりゃ、16年も生きて、顔も可愛いんだから彼氏の1人くらいできる。(まあヤリモクだったんだけどね笑)
『恋愛しないとなぁ』
「な……な……なお!!聞いてる!!??」
「あっ、ごめん。なんだっけ」
「だーかーら、拓真くんが貸してくれたタオルがすっごくいい匂いだったの!!!」
タオル……あぁ、あのときのか。
「良かったじゃん。」
「そうなの!好きな人の匂いっていいよね。てか、匂いって本能的なアレらしいよ!!」
アレ???凛はいつもこんな調子だ。
「あの〜アレだよ、アレ!!」
凛が悩んでいる姿はいつ見ても愛らしい。妹にしたいと思うくらいだ。
「そう!本能が求めてるの!体の中からぜんぶぜーんぶ好きになっちゃうかんじ!?」
………本能が求める?
5限の終了を知らせるチャイムが響いた。
「最近、匂いだけで、誰のバッシュかわかるようになってきちゃって、マネの第一歩だなって思ってんの」
とみが自慢げに話す。
「匂いだけで分かる?臭いの?」
「ううん、結構いい匂いだよ。母親の努力だねー」
気持ち悪い、人の匂いを嗅ぐなんて流石男好きは違う。
「それで言うと、大城は結構いい匂いだよ。」
大城、、、大城廉、いい匂いなんだ。。。
「ちょうどいいとこにきた」
ーとみが大城のシワひとつないワイシャツを引っ張って匂いを嗅ぐー
「なに?え、なにしてんの?」
大城は戸惑っているようだ。
「なんていうんかな、せっけんの香りがする。好青年って感じかな~」
大城は嫌がっているように見えるけど、抵抗はしない。
きっと、それが大城にとっての優しさ
「ほら、なおちゃんも嗅いでみ!!」
え、匂いを嗅ぐ?なんで?どうして?え、?気持ち悪い。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。そんなんだから、男好きだって言われるんだよ。
本当にとみちゃんは汚いなあ
「私は大丈夫、セクハラになっちゃいそうだし笑」
返答に時間空いちゃったな、バレちゃうかな困るな。
大城は何もなかったかのように友達の元へ向かった。
真っ白なワイシャツがどこか黒ずんで穢れたようにみえて、今すぐ燃やしてしまいたい。そう、思った。
匂いと臭い ハム @ham_pam
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