第35話

足元を見ながら上段へのパンチなどを試してみたが結果は

変わる事が無く、鉄が手の甲で賢二の態勢を崩した形で

一歩も動くことなく正対していた。

10日が過ぎた頃、受け流される事は、当たり前になっており、

とにかくパンチやキックを連続で出し続けていく事、無だな動きを

無くす事にしていたが、さすがの賢二でも空振りを3~4分

立て続けに行うシャドウ練習など、した事も無く、組手は

1セット3分も続いたことが無かった。

しかし、連続で攻撃を繰り出し続けた事で、鉄のよける

パターンの様な物が分かる様になってきていた。

その日も賢二の攻撃は空を切るばかりだったが、パンチを出して右側に

鉄が居る事の割合が多くあり、そこを目掛けて次のパンチを繰り出す

それでも、鉄に攻撃を与える事はできないが、よけた先に足払いの様な

蹴りを入れ、だいたいそれも防がれるので次にパンチを腹目掛けて

打つが、その動作の途中で逆側の拳を後ろから大振りで上から叩き込む

様な、なりふり構わずと言った攻撃を繰り出した、ここで初めて今まで

受け流すように防がれていた鉄の攻撃が鉄が手のらで受け止める

形になった。

鉄が組手中に初めて賢二に語りかけた。

「だいぶ、動きに無駄が無くなってきたな」

「でも、もう少し先の動きまで頭で組み立てて攻撃できるようにならないと

俺に攻撃を与えられる事が出来ないと思うよ。」

賢二自身、腕に覚えが有り日本国内で仕事をした際など一撃かその次で

自分の攻撃を受けた相手は、地面に転がっていた経験しかなかった為

そんな先の攻撃など考えたことが無かった。

攻撃を考えるよりも複数の敵を相手にした時などでは、どういう順番で

敵を攻撃していくかしか考えていなかった。

その後、2週間を経てやっと、鉄とのスパーリングで鉄に汗をかかせる事が

出来るようになった。

心の考えていたビジネスはチェンナイだけのビジネスに留まらず、

日本で5か所に化粧品や美容関係の製造工場と人里離れた山奥に

蚕を育成できる、全天候型の5階建てにもなる建屋と、2棟の

飼育施設を持ち、そこからシルクを作成していった。

又、オーストラリアからインドネシアへのコンテナ船の航路を

確保しており、他にも日本から一旦、ロシアへ行きそこから

インドネシアへ行く航路。

更に、インドからインドネシアへの航路などをを確保していた。

インドからインドネシアに行く場合は、製品を部品ごとに分けた状態で

コンテナ船に積みインドネシアで他のコンテナ船へと積み替えるか

港にコンテナだけを保管して銃の取引が実際行われることの多い

タイの港に直接荷物を運ぶかである。

大きな取引になるとインドネシアやマレーシアの港でタンカー船を

一隻丸ごと買い取ると言った事も行われていた。

インドネシアからインドへの荷物はシルクや中古の車などが主な

搭載物である。

インドネシアの航路は、日本からロシアの後、日本で蚕からシルクを

製品してそれをまず積み込み、ロシアへ行き、ロシアで偽ダイアを

製造した物を積み込み、それをインドネシアに降ろして、シルクは

インドに送り、インドネシアに集められた品を同じ港の別の

タンカー船に積み込み日本へ引き返す。

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