第18話 星月夜

 星月夜に、私は踊る。

 それは輪舞かもしれないし、円舞かもしれない。

 ただ静かに、私は踊る。音楽など共にしなくて構わない。私の頭で鳴っていればいい。遠くにいってしまおう。赤い靴を履いた少女のように。

 踊り、狂いながらどこかへいってしまおう。たとえその先に何が待っていようとも。私は、ただ踊り続ける。

 もう何も考えたくない。何かを考えることなんて、やめたい。終わりにしたいのだ。

 他人は「舞踏は何かから逃げるためにできた」と言った。もしかしたら、そうかもしれないと思った。

 それでもいい。

 星月夜に、私は踊る。



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