第71話・あなたの気持ちに応えようと思うわ
「そうね。カナレッドに後は任せて楽隠居でもしようかしら?」
「会長。今すぐの隠居までは賛同しかねますが、長期旅行ぐらいは認めますよ」
話を振られたカナレッドが言った。
「ユベール。私もあなたもまだすべきことが残っているわ。その問題を片付けたら、あなたの気持ちに応えようと思うわ」
「本当かい?」
気難しい顔をしていたユベールが破顔した。その脇でハラハラとキャトリンヌとの様子を見守っていた、アンジェリーヌは安堵したような顔をしていた。
「では行きましょうか。カナレッド」
「はい。会長」
「ではお手を」
「ありがとう。ユベール」
馬車にキャトリンヌが、ユベールの手を借りて乗り込む。それがとても自然に思われた。
「レッドさま。お手紙を書きますね」
「アンジェ。ありがとう。仕事柄すぐに返事は出来ないかも知れませんが、あなたからの手紙なら必ず返事を書きます」
カナレッドに話しかけるアンジェリーヌに気が付いたのか、ユベールがじっと見ていた。その視線に気が付いてか、カナレッドがハッキリ応えると頷いている。
カナレッドが馬車に乗り込むと、こちらを苦笑を浮かべてキャトリンヌが見ていた。
「叔母さま。カナレッドさん、また来てね」
二人が乗り込んだ馬車を見送り、ジネベラの長期休暇は終わった。
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