第4話 いつもの日課

「痛すぎ、息子相手に容赦ないな、父さん」


「この程度で悶えるとは、まだまだ弱い証拠だ!」


 俺は今、剣の稽古をつけさせられていた

 木刀ならぬ木剣で、父は片手で剣を振り、俺はそれを両手で受け止める。というより両手じゃないと父さんの一撃を止められない


「腕だけの筋力じゃだめだ、全身の筋肉を使え」


 全身の筋肉だとか、全身運動させたいなら水泳でもさせとけばいいのに

 正面からじゃダメだ、もっと冷静に考えろ…あいつに一撃を入れる方法を


「来ないのならばこっちから行くぞ!」


 剣を強く握り、俺の頭めがけて振るってくる

 …ただ、少し大振り…確実にこれで仕舞にする動きだ、正面から受けても無駄

 なら


 父が左手で握った剣を、こっちも剣で防ぎ、傾け、流す。

 そして、全体重を乗せた一撃を流れに沿って拳にぶつける


 トォォン!と音が鳴り、聞くだけでこっちも痛く感じる


「これなら…え」


 まったくダメージを受けた様子がない

 ただ、一発は入ったのは事実


「まさか、たった半年でここまで強くなるとは、だが、まだ詰めが甘い」


「ふぇ…」


 ストン!

 眉間に一発くらい、視界がグラグラする。


「いって~~!自分の息子だろ!もっと丁重にしろよ!」


「これでもかなり手加減している」


 確かに、父は右利きだ、なのに左手で相手してもらっているだけでもまだましか


「これで今日の稽古は終わりだ」


「いつもより早いじゃん、どういう風の吹きまし」


「なに、たまにはな」


 父はそのまま家に帰ってしまった


「まあいいや、時間がもったいないし、冒険者ギルドへ行こう」


 いつもなら、ここいら辺に、お、いたいた


「ファイア!」


 いつもギルドの近くで魔法の練習をしている人、右手には杖、左手には魔導書を持っている、あの男性はつい二年前に来たばかりの冒険者のフォルティス、あまり依頼を受けているとこは見ないが、いつも努力している尊敬できる人だ

 あの女神、魔法があるなら転生する前に教えてくれてもよかったのに


「うぃーっす」


「アラン君、どうしたのこうはいつもより早いね」


「そりゃいつもより早く稽古が終わったからな、今日も頼むぜ師匠」


「師匠だなんて、いつも通りステラって呼んでよ」


 いつも通り笑って迎えてくれる、毎回睨むことしか能がない父にも見習ってほしい


「それじゃあ今日は魔法の基礎について勉強しようか」

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