第6話 「abcxコーチング配信と火事場の馬鹿力」

「ふあぁ……寝不足だ」


失敗しました。4時間ぐらいぶっ続けでabcxやっちゃいました。普通に寝不足です。寝たの2時ぐらいで起きたの6時前ってマジ?今日は配信も大学もあるんですけど。


「パッと準備して大学行くか」


電車の中で寝そう。ついでに大学でも寝そう。配信では寝れないから、寝れるときに寝るのが良いだろう。寝るのって最高だよね。今日寝れてなかったけど。


「まずは飯食うか」


やっぱ朝食は大事だよね。食わないと1日やっていけないぜ!食パンに蜂蜜つけんの最高だよね。


「よし、行くか」


時間的には大丈夫だが早く行って寝よう。講義中に寝るのはちょっとまずいかもしれないからね。しょうがないね。寝ないように努力するけど、睡魔は最強だから耐えられないかもしれない。そんな時はどうしたらいいんでしょうね。誰か教えて下さい。


「いってきます」


誰もいないけど言ってしまう言葉ランキング1位かもしれないな。『ただいま』と『いってきます』って。





「疲れたー」



マジで危なかった。講義中に何回も寝かけた。気合で耐えたけどヤバい。配信で寝るかもしれない。いわゆる寝落ち配信になる可能性がありますね。そうなったらどうするか…俺の寝落ち配信なんて需要なんて無い訳だが。


「ちょっと寝るか」


昨日あおいさんからの連絡では20時半から配信を始める予定だと返ってきたから、配信が始まるまでなら寝てられるかな?流石に眠気が半端ないから寝ないとガチでコラボ配信中に寝落ちするかもしれない。そんな事になったらやべぇ奴だ。


「連絡しとくか『ちょっと寝ます。配信までには起きます』……っと」


これで良いだろう。現在時刻16時。4時間ぐらいは寝ることができるだろう。8時ぐらいに起きれたら問題ない。アラームをセットして、それでは皆さん。おやみなさい。






「……如月さん寝すぎかもしれません」


現在時刻21時で、配信開始は8時半。如月さんは30分の遅刻です。私は如月さんが来るまでabcxを一応やっていましたが、気になって口に出してしまいました。


コメント:起きないマジ?

コメント:ヤバいだろ

コメント:そんな奴のコーチング受けんの?

コメント:これぐらいなら大丈夫だな


「連絡したんですけど返ってこないんですよね」 コメント:死んでない?

コメント:ただの遅刻だろ

コメント:遅刻だったらクソだろ

コメント:こんなんで怒ってたら某遅刻魔の配信見れなさそう


マズいですね。少しコメントが荒れてきています。早く如月さんが来てくれないとどうなるか分かりません。既に私が配信始めて以来の荒れ具合ですけどね。


「ちょっとお手洗い行ってきますね」


ちょうど1試合目が終わりミュートにしてお手洗いに行く。そろそろ起きてくれると助かります。如月さん。


コメント:早く来いよ

コメント:底辺配信者の癖にあおいちゃん待たせるのヤバ

コメント:↑それなwヤバすぎwww


本当に早く来てください。如月さん。







「………………終わった」


完璧に寝過ごした。コラボ配信の日に。死んだ俺の配信者人生。と、とりあえずあおいさんのいるデェスコのサーバーに行かなくては。配信をみるとあおいさんはトイレに行っているらしい。

………コメント荒れまくりだぁ。 マジでどうしよう。どうにもできないだろ、これ。俺が全部悪いけど、マジでどうしよう。



「と、とりあえず連絡を……『本当にすみません。寝過ごしました。本当にすみません。』」


ヤバいなぁ。あおいさんは悪くないのにコメント欄が荒れまくって不快にさせてしまってる。俺はこんなんだから底辺配信者で、コミュ障で、友達も少ない糞野郎なんだ。……俺なんかいなければ良かったのに。……あおいさんから連絡が返って

来た。


『とりあえず話しましょう』

『分かりました』


「本当にすみません」


あおいさんのデェスコのサーバーに入り即謝罪

する。


「はい。謝れて偉いですね」

「ど、どうしましょう俺……」

「そうですね…とりあえず配信で謝りましょうか」

「そ、そうですよね……」

「じゃあ繋げますね。全力謝罪でお願いします。今後のために」

「は、はい……」



「みんな、ただいま」


コメント:おかえり

コメント:まだ来てないの?

コメント:流石にマズいでしょ


「如月さん来たよ」


コメント:やっとかよ

コメント:おっそ

コメント:遅すぎて草


「謝罪あるって」 


コメント:当たり前なんだよなぁ

コメント:↑そうかな……?

コメント:当たり前……?



「えー、リスナーの皆様。誠に申し訳ございませんでした。大切なコーチング配信を寝過ごしてしまったのは俺の日々の生活がゴミだったからです。こんな大切な配信で遅刻して本当にすみませんでした。今後このような事が無いように生活習慣など自身の管理をもっとします」



コメント:ガチ謝罪で草

コメント:マジで許されん

コメント:こんなちょっとの遅刻でガチ謝罪すんの初めて見た

コメント:急にアンチ少なくなってるやん

コメント:ガチ謝罪するのは珍しい人だ

コメント:遅刻して謝罪あるってマジか

コメント:↑訓練されてる奴居て草


「本当にすみませんでした」

「良くできました。如月さん。ナイス謝罪です」

「寝過ごしはヤバいですよね?」

「謝罪がガチ過ぎて面白いので大丈夫です」 「は、はぁ…」

「うちの事務所に8時間以上遅刻した人がいるんで30分ぐらいの遅刻なんて屁でもないですよ」 「マジですか?」

「マジですよ」



空色ライブってもしかしてヤバい?遅刻なんてしたら普通に終わるって思ってたんだけど。いや、俺が底辺配信者だからか?こっちの世界では遅刻が許されてんのか? 分からん。俺が悪いのは分かってるけど。


「じゃあコーチングお願いしますね」

「……え?」


この状況でやるんすか?俺の遅刻のせいでコメ欄荒れまくってましたけど。マジで申し訳ないんですけど。


「これコーチング配信なんで」

「いや、そうですけど……」

「私は如月さんのコーチング受けたいですけどね」  

「……分かりました。やります」

「じゃあ始めましょう」

「了解です」


コメント:マジでやんの?

コメント:楽しみ

コメント:ランク?


「とりあえずランクで」


こんな状況でコーチング配信が始まってしまった。未だに動揺しまくってるのにコーチングできるだろうか。マジでなんでコラボ配信で遅刻するんだよ。寝落ちより悪い結果になってしまった。


「マッチングしましたね」


コメント:ガンバレー

コメント:ジャンキラーさん頑張って下さい

コメント:爆弾魔さん頑張って


「誰が爆弾魔ですか。こいつみたいに歳くってませんよピチピチです」


コメント:ピチピチ……?

コメント:ジャンキラーの年齢把握してる時点で…… コメント:マジで爆弾の使い方がゲームトレーラのジャンキラーなんだよなぁ


「私はジャンキラーを使いますね。味方さんは……コングフィストとハンブラーですね」


コングフィストは近接が得意なキャラクターだ。他のキャラの殴りダメージが30なのに対して少しダメージが高く、35のダメージになる。スキルはチャージするとジャンプ力が高くなり、そこそこの飛距離があるため高台を取る時に使える。アルティメットはロケットランチャーを取り出し2発撃つ事ができる。直撃ダメージが100もあり2発直撃させればフルシールドの相手を瀕死に追い込む事ができる。



弱点はabcxというゲームは銃撃戦が多いという事だ。彼のパッシブは初動の誰も武器を持ってない時には強いが終盤になって殴り合いをわざわざするプレイヤーはいない。要するにパッシブが終盤になると腐る事が多いのが弱点だ。あとアルティメットは自分自身もダメージをくらう事があるから気をつける必要がある。



『ここに降りよう!』

ハンブラーさんが降りる場所にピンを刺す。 『了解』


abcxは部隊がバラバラの場所に降りないようにジャンプマスターというのがマッチの度に設定される。このシステムのおかげで他のバトルロワイヤルゲームにあったチームの誰かが味方と全く別の場所に降りて相手に倒される、なんて事が少ない。また、ジャンプマスターは譲渡できるので初心者がどこに降りたら良いか分からない時に使えるとても良いシステムだと思う。


「良い所ですね」

コメント:やっぱりジャンキラー使ってて草

コメント:ナイスジャンプ

コメント:ハンブラーさんナイジャン


ハンブラーさんが降りた場所に敵はおらずとても良いジャンプだった。ちゃんと周りを見て降りたのだろう。このハンブラーさんは指示を出してくれると思うので、ついていけば1位になるかは分からないが好順位を取る事ができるだろう。


「金アーマーありました。ラッキーですね」


序盤で大体の物資が揃ったのはラッキーだ。金アーマーのドロップ率は他のアーマーより低く設定されているので、なおさら運が良い。


「味方さんも結構アーマー良いですね」


コングフィストさんは黒アーマー。ハンブラーさんは青アーマーを手に入れている。このゲームはアーマーが進化式で、ダメージを与えれば、白→青→黒→赤の順で進化する。金アーマーは進化しない代わりに回復アイテムを多く持てる能力があり、通常2つずつまでしかスタックできないシールドボトルや医療キットを3つスタックできるようになる。


『移動する』

『了解だ』


「移動するみたいです。行きましょう」


意外と早い安全地帯への移動となった。早く安全地帯に行くのは別に悪い判断ではない。先に安全地帯内の家や倉庫に籠もり順位を伸ばそうとしているのだろう。


「あと、12部隊ですか…まだまだ残ってますね」


数分が経ち、第2安全地帯縮小が終わった。あおいさんの現在のランク帯……ゴールド帯からは少しだけ強い人も出てくるランク帯だ。だが、あおいさんは今までのabcx配信をみる限りエリート……いや、上手く噛み合えばマスターぐらいの実力はあると思う。しかし、あおいさんは忙しいからあんまりabcxを触れてないのもあってプラチナが最高ランクだ。1シーズンやれたら必ずランクUPできるだろうに。


『そこに敵だ』

『あいつを撃っている!……シールドを破壊した!』  


「えっ、シールド割ったんですか?」


『1人ダウンさせた!』

『そこに向かう』


「1人倒してくれました。向かいましょう」

『敵を探知する』

『そこで蘇生しているぞ!』


「グレネード投げます」


『敵が全滅した!良い攻撃だ!』

『素晴らしい攻撃。協力感謝する。』

「当たりましたね。グレネード」

コメント:ナイグレ

コメント:やっぱジャンキラー本人では?

コメント:グレの使い方がマジでジャンキラー本人

 「ジャンキラー本人ならもっと上手く使いますよ」


コメント:……?

コメント:あなたがジャンキラーじゃないんですか?

コメント:ジャンキラーなら……?


「……安全地帯ズレましね。移動しましょう」  


第3収縮が始まる前に移動するらしい。先入りは強いので大会でも使われることが多いムーブだ。あおいさんが出る予定の配信者カップでも使われるだろう。


「無事に入れましたね。……足音…近くにいます」


『そこに敵が歩いてるぜ!殴りにいこう!』

『やめておこう。コングフィストよ』


「まぁ、やり過ごすのが1番良いでしょう」


『戦わないでいようぜぇ』

『ジャンキラーが戦わない選択をするとは……珍しいものだ』

『俺だって戦わない事もあるさぁ』


コメント:レアな掛け合いですやん

コメント:ジャンキラーとコングフィストが脳筋すぎる

コメント:ハンブラーが大変そうな部隊だ


「そうですよ。ジャンキラーは脳筋なだけじゃないですよ」


コメント:ジャンキラーの理解者いて草

コメント:やっぱ本人か……?

コメント:戦いに行かないのは正解


今、コメ欄にあったように戦いに行かないのは正解だ。徐々に安全地帯が狭くなり、終盤になると今まで以上に漁夫が多くなり、戦うリスクが第1、第2収縮の比ではない。ただ、戦いに行かなければならない時もあるので終盤になればなるほど判断が難しくなっていく。そこらへんの判断は試合をして経験を積むのが1番上達する方法だろう。配信者カップまでには時間が足りないかもしれないが。


「結構減りましたね。終盤に減ってないと困りますけど」


部隊数は12部隊から7部隊まで減った。ここからは終盤に差し掛かっていく。毎回言っているように終盤は運も絡み判断も難しくなってくる。戦いを避けた結果あおいさんの部隊がいる家は安全地帯の真ん中で、ここを奪おうとしてくる部隊がいる可能性は高いので警戒を強めて守る必要がある。


「下の階から足音するので潜り込まれてますね」


『下に敵がいる!』

『敵の位置を把握する』


ハンブラーがスキルを使い敵の位置を把握。相手にもハンブラーがいるらしくスキルを打ち返さ

れる。


「このままだと膠着しますが、グレネードを投げれば良いですね」


どのバトルロワイヤルゲームでも高所は正義だ。高所から投げられるグレネードはさらに脅威となる。ましてやジャンキラーのパッシブで通常のキャラは1つずつしか持てないグレネードを2つまで持てるというおまけ付きだ。


『グレネードを投げるぜぇ』


あおいさんが持っている計6個のグレネードの内の3つを投げる。全て丸グレであるから家中だと当たるかは運次第だが、流石あおいさんというべきか、1人に直撃しシールドが割れた。  


『1人シールドが壊れたぜぇ』

『そこを攻撃する……敵を探知する』


レイサーのスモークがあったがハンブラーのスキルで位置が丸見えだ。


「1人やれました」


あおいさんはグレネードが直撃したレイサーを倒し切る。相手のレイサーはアルティメットを発動しようとしたが少し遅かったらしい。


『1人倒したぞ!』 


コングフィストも相手のハンブラーアルティメットをモロにくらいながらも倒す事に成功する。


『こちらも倒した。これで全滅だ』


ハンブラーも最後に残っていた1人を倒しきって相手部隊は全滅。残り6部隊になった。


「なんとかグレ当たりましたね」


コメント:グレうますぎ

コメント:前世で投げたことある?

コメント:今世で投げたことあるだろ


「リアルではグレネードなんか投げたことないですよ。普通は投げませんからね」


コメント:お嬢様だから投げたぐらいことあると……

コメント:↑お前はお嬢様を何だと思ってるんだ?

コメント:お嬢様を兵士か何かと勘違いしてんだろ(適当)


「そろそろ部隊数が少なくなってきましたね」 6部隊から4部隊まで減り最終盤。第5収縮ももうすぐ始まるというところ。家はあおいさんの部隊が籠もっている一軒だけ。それ以外はまだどこにいるか分からないが、岩などの裏に隠れているは ずだ。


「上から…足音?」

『敵を探知する。……上に敵がいる』

「スキルで屋根に張り付かれましたね。グレネードがあっても私はどうにもできません」


屋根に張り付かれたらどうしようもないな。ジャンキラーのスキルじゃ上を倒しに行く事はできない。他の部隊に倒しきってもらうのが1番良いかもしれない。


「後、3部隊」


第5収縮も終わり次でラストの収縮だ。ラストの収縮は安全地帯が完全になくなるのでエリアガードというアイテムで耐えて耐久勝負か、他の部隊を倒しきるかの2択だ。


「誰もエリアガード持ってないですね」

『下にいこう』

『分かったぜぇ』


コングフィスト以外が下に向かいまだ家の近くにいない部隊を警戒する。 

「最後は倒しきるしかなさそうですね」


後20秒程度で収縮は始まる。最後までこの家はギリギリ安全地帯に入りそうなので外に出る必要はない。この家で決着がつく。


「……ラスト部隊ですね」


屋根にいる部隊が収縮が始まる前にもう1つの部隊を倒し 2部隊となる。3対3というどちらも部隊メンバーがフルで残っている状況。最後まで何があるか分からない。

「まだ、降りてきませんね。まさか耐久勝負を……」


ラスト収縮が始まり安全地帯が狭まっていく。相手の部隊は倒しにこない。ずっと上で走って足音をたてているだけ。


「これは確実に耐久を狙ってますね」

『上に敵だ』

『上に行かないのか!殴り合いがしてぇぜ!』 「行くしかなさそうですね『上に行こうぜぇ』」 『アルティメットを使う』


ハンブラーがアルティメットを使い相手部隊のスキルを封じる。その瞬間、ベランダに出て屋根に登るが−−−


「ッ…無理です…」


なんとか上に出たが相手に集中砲火をくらいダウンしてしまう。


『ダウンした。すまない』


ハンブラーもダウンし残りはコングフィスト1人だけ。


『アルティメットを使う!』


ロケットランチャーを取り出し装備する。そして屋根に登りダメージを大分くらいながらもロケットランチャーを発射する。コングフィストの体力は残り少ない。だがこうするしかなったのだろう。2発目を撃ち、自爆。相手にもダメージは入ったと思うが一歩足りなかった。結果は1位は相手部隊に譲る事になったが、あの状況で頑張っていたコングフィストは凄い。


「コングフィストさん。ナイストライです」

コメント:ナイトラ!

コメント:惜しい〜!

コメント:あの場面であそこまでいけるの凄い


「さて、如月さん。どうでしたか?」

「とりあえず動きは大分しっかりしてたと思います」

「まぁ、ハンブラーさんについて行ってだけなんですけど」

「いや、上手い人についていけるのは凄い事です」


上手い人は漁りが速かったり、動きが通常とは違ったりするので、ついていけるだけでも才能がある。

「あおいさんはグレネードの使い方が上手いのは強みです。あと、漁りも速いので大会で先入りのムーブをする時に『いつもと違う!』と困る事はないと思います」


「なるほど」

「悪いところと言えば良いか分かりませんが、エイムが少し追いついていない事があるのでエイム練習をできればいいかなと思います」

「分かりました。これから毎日感謝のエイム練習3時間します」

「……そこまではやらなくても良いですよ?」 「そうですか?なら1時間ぐらいにしときます」 「まぁ、それぐらいなら」


コメント:今日は噛んでないな

コメント:感謝のエイム練習3時間で草

コメント:感謝しすぎやね


「まぁ、あと何戦かして改善点見つけていきましょうか。」

「分かりました」


この後、5戦程試合しあおいさんの改善点をさらに見つけることができた。それはピックプールが極端に少ないことなどが挙げられた。これらは追々直すしかないだろう。配信者カップまで3週間なので俺も頑張ってコーチングしていこう。


「コーチングありがとうございました」

「こちらこそありがとうございました。遅刻した癖に生意気にコーチングしてしまい申し訳ありませんでした」

「遅刻の件は大丈夫です。そんなに気にしなくてもいいですよ」

「……2度と遅刻しないようにします。今日はありがとうございました」

「はい。ありがとうございました。次の配信は後で連絡しますね」

「はい、分かりました。失礼します」


デェスコを抜け、ヘッドホンを外す。


「マジでやったなぁ」 まさか遅刻してしまうとは思わなかった。今までの生活習慣と大学があるのに4時間ぶっ続けのabcxをしたのが悪い。


「今日は早く寝よう」


現在時刻、23時過ぎ、今日の反省を生かしこれからは生活習慣を直していこう。明日は水無瀬さんのコーチング配信あるし。


「よし、寝るか」


目を瞑った瞬間、今日寝坊で遅刻したとは思えないほど眠気が襲ってきた。そして俺は意識を手放した。



「今日も配信ありがとうございました」


コメント:楽しかったー

コメント:面白かったで

コメント:今日はコーチ噛んでなかったね


「確かに、今日は噛んでませんでしたね」


コメント:なんでだろう?

コメント:噛まんときぐらいあるやろ

コメント:カイがこんなに話せる訳ないだろ!いい加減にしろ!


「あれでしょう。遅刻したから挽回しようとして、火事場の馬鹿力みたいな感じだったんでしょう」



コメント:あー納得したわ

コメント:火事場の馬鹿力って凄いんやなって

コメント:いつもコミュ障な奴があんだけ喋れるもんなんか


「まぁ、今日の配信はこれで終わりです。明日も配信する予定ですので、来れる方は来てくれたら嬉しいです。本日はありがとうございました」


コメント明日も来ます!

コメント:ありがとうございました!

コメント:ありがとうございました!


−−−この配信は終了しました。

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