エピローグ 0-3


「……本日は、皆様に……」



 森の洋館を執事長バトラーとともに出立したのち、ある「式典」に出席していた。

 参列者は皆、厳かな正装だ。

 立法府たる学生議会ですらジーンズにパーカーで出ていた前野党党首すらいる自由な学風を尊ぶ学院州でも……、この場にかぎっては違う。

 まるで国家の独立宣言でもできそうな、巨大なホールの式場。事実、ステージ正面の壁面には大きな群青白星旗コンステレーション——合聖国USS国旗が。

 その両側には、一際大きな肖像画が掲げられていた。

 右側には合聖国建国の父ラザルスの肖像画。

 そしてもう片側には……。



 ともあれ「式典」のスケジュールは滞りなく進む。

 一分一分が経つにつれて、大切ななにかが二度と戻らなくなる感覚が迫り上がってくる


 弔辞 友人代表。ウィリアム・ホワイト。


 名前を呼ばれた少年は、登壇する。

 壇上からみえるステージ正面には、あまりにも多くの花が手向けられる。小さな透明ケースの中には生前と死後に国内外から授与された数多の勲章が置かれている。

 そして、棺には……。

 息を引き取った少女。アイリス・レイが眠っている。

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