刑務所へ続く下水道


数分間、空を飛んでいたBANはゆっくりと地面に着陸、翼とジェットエンジンを収納すると再びBANは走行を始める。


「おい、さっきのはなんだ」


「いつから空を飛べるように改造したんだ、答えろ」


ジムは運転しながら、チェイスとカイの質問に答える「改造は一ヶ月前だよ、かなり無理したけどなぁ」


「無理したっていくら金かけたんだよ。」


言いたくない顔をするジム、その顔を見て察するかなりの金額を注ぎ込んだのだろうと


そんなくだらない話をしていたら、目的の場所に到着する。無人工場の空き地にBANを停車する


「カイ、ここでいいのか?」「あぁ、ここでいい。」車から3人が降りる、ジムはドアについている青いボタンを押すと、BANは手に収まるサイズに小さくなると、それをポケットにいれる。


刑務所に入るには正面突破は不可能だったら別のルートで行くしかないそれで、下水道から刑務所に続く道はここしかないらしい。


チェイスは1人で薄暗い無人工場に入り、マンホールの場所を探す。探すこと数分、マンホールらしき場所を見つける「おいあったぞ、こっちに来い」


その声にジムとカイが走ってくる。「なぁ、ほんとに大丈夫なんだよなぁ」ジムが不安そうに言うと「真正面から行くより、安全なのは確かだが保証はできない」「あいつらのことだ、なにかしらしてくるだろう、気をつけろよ」「あぁ、そうだなぁ。よし行こうぜ」


ジムがバールでマンホールを開けると、チェイスが最初に降り、次はカイ、最後にジムがマンホールの蓋を閉めて、ゆっくりと降りる。


「なんだか静かだなぁ」「あぁ、静かすぎる。カイ、刑務所はどっちだぁ。」ジムはカイに聞くと、指を真っ直ぐに指差す。「表示される方向はあっちだ、行くぞ」


カイは先頭を歩き出す、その後ろをジムとチェイスがついて来る。薄暗い照明と迷路のような下水道に、息苦しさを覚えながら刑務所に向かう3人。


一方、赤髪と青髪が乗っている車は、刑務所に到着、ゲートをくぐって駐車場に車を停車し刑務所の中へ入っていくと、赤髪と青髪の部下達が刑務官や囚人をおもちゃにして遊んでいた。


青髪と赤髪が現れると、一斉に整列すると、部下の後ろから赤髪の部下、黄髪と緑髪があわてて「赤髪様、青髪様、お疲れ様です。」



黄髪が後ろに吹っ飛ぶ、隣にいた緑髪がワナワナと震えだす。「おい緑髪」 


赤髪が緑髪のネクタイを掴むと顔を近づけて


「これからここに客が来る、遊んでないで散らかした場所を片付けろ、いいな?それとビールを持ってこい」


緑髪と部下達はすぐに掃除を始める、部下の1人がビール瓶を持ってくると、それを奪い取りラッパ飲みする青髪と青髪。


「なぁ、本当にあいつら来るのか?」


「心配症だなぁお前は、」


ビール瓶を手に持つと、山積みになった刑務官の屍の一番上に座って、紙タバコを取り出すと火をつけて一服する。


「青髪、だとしてもあいつら遅くないか?車で来るならそんなに時間かからないよな?」


赤髪は右手に装着した腕時計を見る。


「赤髪、あいつらは下水道から来るから時間はかかるだろう。それとアイツを放ったからなぁ」


「まさか、アイツって」青髪はビールをグビグビ飲む。 


アイツとは他の世界で偶然手に入れた生物兵器、最初は犬ぐらいのサイズだったが、数週間後には体長数メートルに成長、凶暴性と俊敏性を兼ね備えていて、手が付けられないほどの生物兵器。


「あいつらは死んだな」と青髪はそう感じた「ゴワァァァァァァァァァァァァ」地面の下から恐竜のような声が響き渡る。その咆哮に青髪以外、背筋が凍り動けなくなっていた。


下水道を彷徨うこと15分「おい、ホントにこの道でいいのか?」「大丈夫、こっちであってる、このまま進もう」


小型の機器に表示される地図とにらめっこするカイが「おかしいなぁ、もう出口付近なのに、」「どうしたカイ?何かあったのか?」


後ろから覗き込むジムとチェイス、なにやら赤い点滅がゆっくりと移動していることに、チェイスほ気付く。

「赤い点滅が移動している、どういうことだ?」「嘘だろ?そんなことあんのかよ。」画面を凝視するジムとチェイスの肩を叩くカイ2人は顔を上げると、カイの顔は引きつっていた。


「どうしたカイ?そんな顔して」「前、前を見ろ」カイが指差す方向に目を向けると、柱の影から巨大なワニが姿を現す。


「なんだあれは、おい逃げるぞ」「逃げるってどこだよ」「そんなの俺に聞くな」


ジム・チェイス・カイは来た道を走っていく「おいどうする、」「どうやってコイツを倒す?」「俺にまかせろ、カイとチェイスはどこかに隠れてろ」


1番前を走るジムが言うと「わかった、ジム死ぬなよ」「気を付けて」カイとチェイスは左の細い道に入ると、巨大なワニとジムの追いかけっこが始まる


「さぁ、来いよ」巨大なワニを煽り、十字路に差しかかると、右の通路へ逃げると巨大なワニも追いかけてくる。


「さぁ、こっちに来い。化け物がぁ」奥へ奥へと逃げるが、ついに行き止まりになり、後ろを振り返ると、巨大なワニが口を開けて迫ってくるが、太く巨大なパイプに遮られて動けなくなる。


ジムはギリギリ身体が入れる穴を確保すると、店から持ってきた、威力の低い手榴弾をズボンのポケットから取り出すと、ピンを引き抜き巨大なワニの口の中に投げすぐに穴へ入る。


数秒後。手榴弾が爆爆し、ガスパイプも同時に爆爆するき。巨大なワニはバラバラになり、肉片と血が天井や壁に飛び散る。


穴からゆっくりと顔を出し、周りを見渡すと血がベッタリついた梯子が落ちていた


「やったのか?」穴から出ると身体を起こし、椅子が落ちてる場所まで歩くと、カイとチェイスこちらへ走ってくる。


「おいジム、大丈夫か?」「良かった、死んでなくて」


死んでなくて………?チェイスの頭を軽く小突く、チェイスは頭を両手で押さえる。「イテテテテテ、何すんだよジム」「俺を勝手に殺すな」そんな会話をしている2人をほっておいてカイは梯子を手に取る「おいジム、この梯子はなんだ?」


カイが梯子を立てると、梯子が天井まで伸びるとマンホールの蓋が現れる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る