夢と日常のあわいに残された記録
- ★★★ Excellent!!!
この作品を読むあいだ、
コロナ禍という大きな影の中で
「夢」と「日常」の境界が揺らいでいく様子を、
追体験しているようでした。
友人とのzoom飲みや再会の場面は、
特別な出来事ではないのに、当時の空気を鮮やかに呼び戻す。
マスクが当たり前になり、
非日常が日常へと変わっていく時間の流れの中で、
主人公は「自分はどうしたいのか」を問い続けていく。
派手な事件はなくとも、
ひとつの世代の「記録」と「心の震え」が刻まれた作品。
その余韻は読み終えてもなお胸に残り続けます。