第12話 フェル、それ獲物やない、エルフや
今日はフェルが森で
イノシシを捕ってきていた。
ものすごく大きいイノシシだ。
夕食はごちそう決定だ。
すごいぞ、フェル。
「バウ!」
フェルは自慢げに
顔を上げて鳴いた。
最近フェルには狩りを
中心にしてもらっている。
お肉は大切なごちそう
だからね。
やっぱり体が求めてしまう。
調味料がないのがさみしいけれど、
でもやっぱり焼いて食べるだけでも
別格だ。
さあ、解体して
調理を始めようか。
二日目
今日はフェルは熊を狩ってきた。
ねえ、なんかめちゃくちゃでかいんだけど。
小屋くらいのサイズあるんだけど。
腕四本もあるし。
顔もなんか怖いよ?
ねえ、これ大丈夫なやつかな?
たたられたりしない?フェル?
「バウ!」
フェルは自慢げに
顔を上げて鳴いた。
うん。
・・・まあ、お肉だからいいか。
解体して、
調理を始める。
これは、十数日
分はありそうだぞ。
三日目
今日はフェルがエルフを狩ってきた。
「ひぃん」
おお、すごいぞフェル!
イノシシやクマよりはお肉は少なそうかな。
でも昨日の熊肉も残ってるから
全然平気だ。
「バウ!」
フェルは自慢げに
顔を上げて鳴いた。
じゃあ今日も解体して・・・
・・・うん?
・・・あれ?
・・・エルフ?
エルフ!?
フェル!
それ獲物じゃないよね!?
あぶねえ。
ついいつものクセで包丁
とりだしちゃった。
「うう、お腹空いたよ~」
ありゃりゃ?
どうやあエルフさんは気を失っている
ようだ。
うわごとで、何かつぶやいている。
フェルによると、
森の中で倒れていたようだ。
大丈夫ですか?と聞くと
グー!とエルフのお腹が元気よく
返事をした。
・・・外傷もなさそうし。
とりあえず、トレントの木の実を
絞った飲み物を口に含ませてやる。
あとはこれで様子見かな。
4日目
朝
「ぎゃあああああ!ふぇ!フェンリルるうううう!」
小屋の中から叫び声が聞こえた。
どうやら無事にエルフさんは目を覚ましたらしい。
小屋の中に入ってみると、エルフさんは
小屋の隅っこでプルプル震えていた。
「た、たべないで~、おいしくないよ~」
必死にフェル相手に命乞いをしていた。
そんなエルフさんに対してフェルは首を傾げ、
頭に?マークを浮かべている。
あららら。
一緒にいると暖かいからと
フェルにいて貰ったのは失敗だったか。
怖がらせてしまった。
「大丈夫ですよ。とてもおとなしい子なので」
僕はそんなフェルの頭をなでながら、
エルフさん言った。
「て、てなずけてるううううううう!」
するとエルフさんは驚いたように
目を見開いて叫んだ。
なんだかラナちゃんとは別の意味で
元気そうなエルフさんだね
それからのエルフさん、名前はサラさんと
言うらしいのだけど、絶叫のしまくりだった。
僕にかまってと近づいてきたスライム3兄弟を見ては叫び、
ゴーレムくんとトレントさんを見ては叫んだ。
後半は、叫びすぎたせいか、喉が
ガラガラになっていた。
大丈夫だろうか?
それに何にそんなに驚いているのだろうか?
別にここではいつもの光景なのにね。
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