第3話
この世界は大きな二つの大陸と海に浮かぶ小さな大陸で成り立っている。西側の大国アンゴラ帝国と東側のコバルト連邦の歴史は戦争の歴史だ。
人類最古の文明が生まれた、紀元前の古代。水平線の先はこの世の深淵、悪魔の世界だと考えられていたため東西の交流はなかったとされている。
だがしかし、このとき東西の交流がなかったためにふたつの大陸は独自の発見と進化を繰り返しお互いに受け入れることができないほど険悪になってしまうことになるとは思わなかっただろう。
やがて、文明が生まれ、いくつもの小国が生まれ、数え切れない争いを経て、東西は巨大な帝国にまとまった。
それから海洋技術が発達すると東西の交流が嫌でも生まれてしまったのだ。
科学力によって様々な兵器が生まれた西側諸国と魔法の発見によって多様な魔術が継承された東側諸国。
同じ人間の姿形をしていながら文化や思想までもまるっきり異なる東西の印象は最悪だった。そんな東西の諸国における共通認識は水平線の向かうには悪魔の世界があるということだけであり時は流れ今度は帝国どうしの戦争になる。
お互いの思想・文化、進化。すべてにおいて否定し、自らの主義を肯定させるための争いは数十回を超えたと古い歴史書に記されている。
海の向こうの大国を滅ぼすことはいつしか東西の権力者たちの野望となっていった。
しかし地理的な問題からそのほとんどが失敗に終わる。ベガルダ海を越え一時的に占領してもすぐに押し戻された。
それから千年近い時が流れてかつての帝国は滅び小さな国がいくつもできた。東西の大陸で消滅と繁栄を繰り返していた。
中世に入ると教皇(最高位聖職者)が各国の王を従えるようになり西側の王国が徒党を組んだ。かつての野望を果たそうと東側が戦争に明け暮れている隙に奇襲攻撃を決行した。
東側の国々は同盟関係を結び総員で迎え撃った。母なる海ベガルダ海を挟んだ攻防がずるずると一世紀以上続く。やがて人類が衰退するほどの伝染病が蔓延して戦争どころではなくなった。
近代になるとそれぞれの諸国で領土の奪い合いを繰り広げた。しかしその一方でもし海の向こうの国が束になって攻めてきたらどうするのか。東西の古代の帝国は団結するという形で再構築された。来るべき戦いに備えて西側では魔法に対抗できる殺戮兵器の発明を東側諸国では兵器を破壊できる優れた魔術を発達させ両国は着々と軍事力をつけていた。
やがて東西の冷戦時代がはじまる。
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