第75話 キャンプ飯_1品目
「それじゃあ、俺たちはこっちでテント立ててるけど、そっちは手伝わないでいいのか?」
「大丈夫です。こちらはお任せを!」
私たちは馬車を降りて少し山の中を歩いたところで、キャンプの準備をすることになった。
力作業の組み立てなどは私にはできないので、その辺はエルドさんとシキに任せて、私は料理の方に専念することにしよう。
正直言うと、ただキャンプ飯を私が作りたいだけなのだが、エルドさんに力仕事を任せてしまった。
……まぁ、味が美味しく作ればきっと不満はないはずだろう。
私はアイテムボックスからキャンプなどのアウトドア用品一式を取り出してそれを渡すと、少し離れた所で用意してきたキャンプ飯を作るために必要な料理道具を出していった。
エルドさんに組み立ててもらったテーブルの上に必要な食材などを並べていき、炭がパチパチと燃える炭火を使って今日は料理を作っていく。
今回はいつも色々と良くしてくれているエルドさんのためにも、少しお酒が進むような料理も作っていこう。
せっかくのキャンプなのだから、数品作ってみようと思う。とりあえず、ご飯が炊ける準備を着々と済ませた後、私は調理を開始することにした。
まずは、一番時間がかかるであろう一品から作っていく。
初めにカウオックスという牛肉のような塊肉を用意する。今回はそのお肉のもも肉を使っていく。
まな板の上に置くと、随分と迫力があるお肉だけに、普通に買ったら結構するんだろうなと考えてしまう。
今回も毎度おなじみシキが狩ってきてくれたお肉をエルドさんが解体してくれた物なので、原材料費はほぼ無料。
これはぜひとも美味しくいただきたいところ。
今から作る料理は時間がかかるだけで、難しい料理ではないので手早く終わらせて次にいこう。
まず、全体の重量の1%ほどの塩をお肉にまぶしていく。なぜ1%なのかは私もよく分からないのだが、前世でよくこの料理を作ったときに書かれていた文面なのだ。
そして、あとは炭火の網の上で極力火が弱い所を見つけて、そのうえで焼いていく。あとは、時折焦げないように確認してあげながら、四方をじっくりと焼いていけばお肉の方は完成である。
本当ならアルミホイルを使いたかったところだけど、そこは炭火でじっくりと焼いていけば問題はないだろう。
あとは、お肉のソース作りだ。
まずは、すりおろした玉ねぎのような野菜と、すりおろしたニンニクのような野菜をフライパンに入れていく。あくまで主役は玉ねぎなので。ニンニクの入れ過ぎには注意が必要である。
それを軽く炒めるようにして水分を飛ばした後、そこに生成した醤油、みりん、赤ワインのようなお酒を同じ比率で加えてよく混ぜていく。
そして、それが良い感じに煮詰まってきたらそれでソースは完成。
最後に低温で熱をゆっくりと火を入れたカウオックスのお肉を切って、ソースをかければ完成なのだが……とりあえず、お肉ができるまではソースも少し避けておこう。
一品目、カウオックスのローストビーフはほぼ完成だ。
私は玉ねぎのソースの香りを嗅いで少し口元を緩めながら、残りの二品の料理へと取り掛かることにしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます