第5章 縁切り寺と鎌鼬
第四話 縁切り寺と鎌鼬(かまいたち)
※
「わたし、尼寺にでも、入ったほうがいいのでしょうか……?」
三好アイコ、二十九歳、独身。結婚詐欺の被害者が、ポツリと言った。
「男運が悪いのは、もう充分わかりました!けれど、また、恋をしてしまったんです……。もう、男関係で、辛い思いはしたくないし……。尼になるしかないのでは、と思うようになって……」
薫的さん(=薫的神社の俗称)の傍らの庵には、『人生相談』にやってくる人間もいる。その中には、霊障を持った者がいて、簡単なお祓いをしてやれば、自ら答えを見出だすことがある。
だが、今回の客は、その霊を祓った後での相談だ。
「また、恋をした?カネ……」
と、白装束の太夫が尋ねた。
「どんな方ですか?もちろん、独身男性ですよね……?」
と、太夫の側にいる、巫女姿のスエが尋ねた。
「それが……、夢に現れた人で……。独身で、同じくらいの年齢のかただと思うのですが……」
「はあ?夢の中の人?それじゃ、白馬の王子さまですよ!現実の人間とは、限りませんよ!」
アイコの答えに、スエは呆れたように言った。
「いえ!どこかわかりませんけど、畳の部屋に寝ていましたし、お顔も、庶民的なかたでしたから、きっと身近にいるかただと思います!けれど、また失恋することになりそうで……、それなら、一掃、尼にでもなったほうが……」
「はあ?まだ、会ったこともない人に恋をして、早、失恋する結論まで出しているのですか……?」
「スエさん!でしたね?あなたは、まだ、恋をしたことがないのでしょう?それも、複数回。そして、すべてが、悲恋なのよ!ああ、わたしはなんて、悪い星を持って生まれてきたのかしら……?」
「まあ、スエは、ずっと修行をシヨッタキ、恋をする暇もなかったケンド、あんたは、チクト、多すぎる気もするねぇ……。たぶん、今まで、憑いチョッた、動物霊の所為やロウキ、もう、正常になるはずヤケンド……」
「それですよ!わたしに憑いていた『霊』って、何だったのですか?祓った、っていうけど、逃げただけでしょう?また、帰ってくるかもしれませんよね……?やっぱり、尼になろうかな……」
「まあ、逃げた動物霊は、イタチかテンの妖やろう……。『荼枳尼天』の御札が怖いらしいキ、もう帰ってくることはないわね!尼になるのは、その夢の中の人に逢(お)うてからにシイ!今度は上手(うも)う、行くかもしれンキ……」
※
「夢の中の人って、誰なんでしょうね?本当に、この世の人なのかな……?」
アイコが『荼枳尼天』の護符をもらって、庵をあとにした。その背中を見送って、スエがポツリと言ったのだ。
「ははは!スエ、たぶん、その男は『山田隆夫』よね!」
「ええっ!どっちのですか?詐欺師の偽物?それとも、女ッ気なしの祟られたほう?」
「本物に決まっチュウロウ!詐欺師なら、アイコは知っチュウロウガね!」
「けど、生霊として、祟った相手ですよ!人違いだったけど……」
「それよね!人違いやった!スマンことをした!いう気持ちと、チラっと見た寝顔が、ゴッチャになって、夢に出てきた……。アイコとタカシは、霊魂という、肉体でない部分で、深い関わりを持ってしまったキ、ね……」
「そうか!生霊と間違いの祟られ人間だから、悪い関係が終わったら、微妙な関係が残るかもしれませんねぇ……。まさか、山田さんのほうも、夢の中に、アイコさんが……、なんてことはないでしょうね……?」
「あり得るよ!生霊の怨みを受信する器ができたから、今度は、恋愛のメッセージを受信するかもしれないだろう……?」
「上手くいきますか?また、『金縛り』になるんじゃないでしょうか……?」
「悪の波動やないキ、金縛りにはならんよ!それより、ショウコのほうが困りモンよ!」
「そうですね!ここと同じように、霊障に関わっているから、同業者に近いですもの……、我々の悪評に繋がったら、迷惑ですよね……!」
「悪評より、あの娘自身に災いが、のし掛かりそうヤ……。見えてないのに、見えるフリをしてたら、きっと、ホンマモンが、憑いてしまうことになる!もう、憑いチュウかもしれン……!」
※
「何か、ムシャクシャするわねぇ!アイコの従妹という、中学生が来てから、ロクなことがありゃしない!大の得意先だった、金持ちのマダムが、別の新興宗教にハマッてしまうし、アイコから、怨む相手が人違いだったと、クレームがくるし……。そう言えば、あの従妹の相談料は、取りっぱぐれになっちまったね……」
寂れた庵の畳の上に胡座(あぐら)をかいて、茶碗で酒を飲みながら、尼姿のショウコが独り言を言っている。
「なんだ!昼間っから、茶碗酒か?いくら土佐の女だからって、胡座すわりで、ひとり酒は、ねぇだろう……」
開け放たれていた、襖の陰から、ティシャツに革ジャン、ジーンズをはいた、年齢不詳の男が、レイバンのサングラスを外しながら言った。
「おや、シロウさん!何かあんたに頼んでいたっけ?」
「例の『山田隆夫』って、結婚詐欺師が騙っていた名前の男だがな……」
「ああ、あれ?違っていたんだってね?」
「なんだ、もう知っているのか……。アイコって女が持ってきた『戸籍謄本』は、確かにあの男なんだけどね……。どう見ても、結婚詐欺なんてできる奴じゃないんだ!それで、おかしい、と思って、俺なりに、調べたのさ!どうだ?このネタ、買うかい?」
ショウコがシロウと呼んだのは、元県警の刑事で、あるヤーさん絡みの不祥事でクビになった男だ。今は、探偵業をしている。ショウコとは、顔見知りで、ショウコの客の過去や噂話を調べては、小遣いをもらっている。
「それって、いい話なのかい?」
「ああ、アイコって娘に、新たな御神託が降りて、詐欺師の正体を掴んだ!って言えば、たぶん、金になるよ!俺が直接会って、アイコに情報を買ってもらってもいいんだが、あんたには、義理があるからね!先に話を持ってきたのさ……」
「ええっ?詐欺師の正体?つまり、アイコの金を持ち逃げした男を見つけたんだね?買うよ!いくらだい?」
「安くしとくよ!あんたと俺との仲だからね……」
※
「あんた!三好アイコって、女、知っているだろう?」
丸い派手なサングラスに、アフロヘアーばりのパーマネントがかかった茶髪。絶対、『夜の蝶』としか思えない、年齢不詳の女が声をかけてきた。
「何の話だ?三好アイコ?知らねえな!人違いだろう?よく、誰かに似ているって、間違われるんだ……!」
声をかけられたのは、三十歳前後の長身のイケメンだ。ちょっと、斜めから見ると、石原裕次郎に似ていなくもない。
「しらばっくれてもムダだよ!あんたの高校時代の友人って言ってた、サブローが白状したんだよ!あんたが『ヤマダ・タカオ』って男の戸籍を使って、女を騙した。そのお芝居に、一役買って、一万円をもらったってね……」
「サブロー?そんな友達はいねえよ!あんた、何を勘違いしているんだ?ヤマダタカオ?そんな奴も知らねえよ!」
男は、そう言い切って、女に背を向けた。
「兄さん!オトボケが過ぎると、痛い目に合うぜ!」
男が振り向いた正面に、革ジャン姿のシロウが、煙草を咥えて立っていた。
「兄さん!あんた、この先のバーのバーテンしているよなぁ?あの店、『◯◯組』に、ミカジメ料を払っていることを知っているだろう?」
「えっ!あんた、組のモンか……?」
と、石原裕次郎似の男が怯える表情になった。
「ケンっていうんだって?イケメンを利用するのは、いいけど、女を騙して金を持ち逃げしちゃあ、いけねぇな!貢がす程度にしとかないと……なぁ」
シロウは、ケンという男の問いには答えず、脅しを続ける。
「あのアイコという女!組の幹部の関係者だったのか?」
「まあ、そんなところだ!」
「ウソをつけ!アイコには、男はイネェし、親は普通の公務員だよ!」
「チッ!知ってイヤガッたのか……?まあいい、俺が許せねえんだよ!金を返すか、痛い目に合うか……?」
「どっちもイヤだね……!」
ケンは、そう言うと、また反転し、ショウコの腕を掴んだ。
「この女に怪我をさせたくなかったら、手を引きな!そして、アイコのことは、忘れるんだ!◯◯組には、知り合いがいるんだぜ!」
「ああぁ!バカだなぁ……」
シロウがそう言い終わらないうちに、ケンの身体が宙に舞って、地面に叩きつけられていた。
「汚い手で触らないで……!」
「ほらな!この女は、合気道の達人なんだよ……」
※
「全額とは成らなかったけど、騙されたお金の半分以上は回収できたわ!」
寂れた庵の祭壇のある座敷で、尼僧姿のショウコが、アイコに言った。
アイコが『ヤマダ・タカオ』と名乗って、詐欺被害にあったケンという男から、金を回収したのだ!被害額は、約300万円。そのうちの180万円が、封筒に入って、アイコの前に差し出された。
「あなたには、間違った『御神託』が出た、いえ、間違いじゃなかったのよ!わたしが意味を違えて、解釈したのよ……。『御神託』って、直接、わかりやすい言葉で降りるものじゃあないから、特に、相手が作為的に、隠していたから、『ヤマダ・タカオ』って名前に引き摺られて、いたし、ね……。それで、もう一度、『御神託』の意味を考えたの!そしたら、見えたのよ!『ヤマダ・タカオ』を騙った男がね!それで、まあ、その男から、お金を回収できたってわけよ……。警察に訴えるって脅して、ね……。だから、追加料金は、いらないわ!今回は、わたしのミスで、解決が遅くなったのだから……」
尼僧姿のショウコが、アイコに言い訳染みた言葉を伝えた。追加料金はいらない!と、言ったが、回収した金は、200万円、20万円は、『手数料』として、『ピンハネ』している。
「半分以上、還ってきたんですから、本当に、充分です!ありがとうございました!」
と、アイコは、『ピンハネ』など、疑いもせず、封筒をハンドバッグに入れた。
「あなた、そう言えば、ずいぶん、明るくなったわね……?何か、吹っ切れたような……?何か、良いことがあったの?」
霊媒師でなくても、以前のアイコと今の彼女の変化はわかるはずだ。化粧をして、髪型も変え、服装もやや地味ながら、明るい色合いのコーディネートになっているのだから……。
(まあ、これで、この娘から、悪評が広がることはないわね……)
霊媒師も『サービス業』、風評被害は避けなければならない。
「また、何か困ったことがあったら、いつでも、いらっしゃい!」
と、アイコを庵の玄関口まで見送った、ショウコの顔が、強張った!
「あっ!あんた!山田隆夫の偽物……!」
「な、何しに来たの……?」
ふたりの女性が、そこに現れた、イケメンの男に向かって、声を発した。
「ショウコさんですね?ぼ、僕と、付き合ってください……!」
※
「それで?その三人は、どうなったガぞね……?」
薫的さんの傍らの庵で、番茶をすすりながら、太夫が弟子のスエに尋ねた。
スエは、霊媒師の神妙寺章子の庵を訪ねていた。アイコと会う約束だったのだが、アイコが急に、ショウコに呼ばれたため、予定を変更したい、との連絡があったのだ。ショウコとの関係、急な呼び出し、そのふたつを心配して、スエは目立たない服装で、出かけることにした。いつものポニーテールの髪型をお団子にして、帽子を被り、黒ぶちのだて眼鏡をかけた。まず、スエとはわからない容姿になっていた。
スエは、ショウコの庵の裏手に潜み、ショウコとアイコの会話を盗み聞き、ケンという、結婚詐欺師が登場してからの修羅場を見てきたのだ。
「ケンという男に、何やら動物霊が憑いているようです!ショウコさんが、お金を取り返した時、ケンをあっさり投げ飛ばしたようで、その男勝りに、ケンが惚れてしまって、ショウコさんを見つけようとして、悪い妖に取り憑かれたみたいなんです!アイコさんは、ショウコさんとケンがもともと、グルだったんじゃあないか?と疑り出して、ショウコは、その誤解を解くのに、必死。ケンは、ショウコに甘い言葉を投げ続ける。で、収集がつかなくなってしまったので、わたしが中に入って、『荼枳尼天』の護符を差し出したのです。そしたら、ケンという男が、真っ青な顔になって、ショウコさんの背中に隠れるように、ショウコさんの腰にしがみついたのです。ショウコさんが驚いて、振り払おうとしたんですが、もう凄い力で……」
結局、ケンは気を失って、ショウコは仕方なく、庵の中に寝かすことになったのだ。
「ケンの身体に憑いた『動物霊』が、『荼枳尼天』の護符を恐れたか……?鼬(いたち)か、貂(てん)の妖じゃな?」
「はい!怯えて、頭を隠すように、丸くなりましたから、イタチかテンかは、確認できなかったのですが……」
「アイコにも、護符を授けているから、イタチの妖には、怖い場面になったガよ!さて、ケンという男、どうなるか……」
※
「あんた!もう、いい加減にしておくれ!商売できないじゃあないか!あんたも、仕事があるんだろう……?」
寂れた庵の一室。昼間っから、裸の男女が、布団の中で、絡み合っていた。ケンがショウコの庵にきた日から、三日が過ぎているのだが、ケンは、ずっと居座っていて、しかも、ショウコと、男女の関係になって、一日中『絡み合って』いるのだ!最初は、久しぶりの男の感覚に、ショウコも喜びを感じていたのだが、三日も続くと、もうウンザリだ!食事も、たいしたものを食べていないから、体力的にも辛くなってきた。
「な、何だ?真っ昼間から……?」
いきなり、襖が開いて、探偵のシロウが顔を出して、驚いた。
「おめえ!ケンじゃあねぇか?バーのマスターから、店に出てこない!って訊いて、探していたんだぜ!まさか、ここにいるとは……!しかも、ショウコと『できちまった』のか……?おめえ、母親くれぇ、年上なんだぜ……?」
シロウが、男のほうの顔を確かめて、なお一層、驚く。
「シロウ!なんとかしておくれ!こいつ、スッポンみたいに離れないんだ!わたしのアソコが壊れちまうよ……!」
「チエッ!ショウコ!おめえもいい歳して、気分を出していやがってたんだろうが!こいつと縁を切りたかったら、『縁切り寺』にでも行くしかねぇぜ……!」
「そいつへ、連れて行っておくれ……!もう、限界だよ……」
「仕方ねぇなぁ……。『縁切り寺』っていうと……?『龍王院』か……?」
※
「スエ!知り合いの住職から、助太刀を頼まれた!一緒についておいで!」
太夫にそう言われて、巫女姿のまま、スエは迎えのハイヤーに乗り込んだ。
車は、東に向かい。しばらくして、大きな山門のある寺に着いた。
「龍王院?ここは、有名な『縁切り寺』ではないのですか?」
扁額を見上げて、スエが太夫に訊いた。
「そうよね!毘沙門天が奉られていて、四国でも、一番の縁切り寺よね!」
「そんな有名なお寺に、知り合いがいて、しかも、助太刀を頼まれたのですか?」
「そう!今回の『縁切り』には、妖が絡んジュウらしい……。それも、ちょっと、面倒な妖らしゅうて……」
と、太夫は、語尾を濁らした。
ふたりが案内されたのは、本堂ではなく、奥の院だった。そこで『護摩業』が行われている。
「あら!お祓いを受けているのは、ショウコさんとケンという男ですよ!」
と、スエは驚いた。
「おう!トミ太夫!ご足労願って、申し訳ない!」
と、巨漢の坊さんが、数珠を手に巻きつけながらふたりの前に現れた。スエの鼻腔に、微かに『動物霊』の匂いがした。
(まさか!この住職が妖……?)
「寛善さんでも、切れん『縁』があるガかよ?」
と、太夫が微笑みながら言った。
「こちらが、太夫の養女になった、娘さんかよ?こりゃ、怖いノウシ……。いやいや、才能豊か、と見た!太夫!エイ後継者を見つけたノウシ……」
「ああ、この娘は、スエじゃ!何故か『荼枳尼天』に気に入られたようでな……。おまんとは、相性が悪いかもしれん!」
「そ、そうか!荼枳尼天を恐れちょったか……?それで、余計に、離れられんガじゃ!一匹では、歯が立たんからノウシ……」
(はあ?この坊さん、何、わからないことを言っているのかしら……?)
「ホイタラ、さっそく始めようかねぇ!この御幣に、それぞれに憑いチュウ、『鼬の妖』を移してみよう!それから、どうするかは、寛善さんと二匹の交渉よね!昔のように、三匹で組むか、どうか……」
(何?お師匠さまも、何を言っているのか、理解できない……?)
太夫と坊主は、気を失っている、男女──ショウコとケン──を護摩段の前に胡座座りの形で、なんと、縄で、後ろ手に縛り上げた。それから、ふたりの額に、梵字の書かれた御札を貼りつけ、太夫は、真言を唱え始めたのだった。
「さあ!苦しかろう!その人間から、離れて、楽になりなさい!仲間もここに居るキニ……!」
※
「いったい、あれは、どういうことだったんですか?」
龍王院でのお祓いが終わり、帰りついた庵で、スエは太夫に尋ねた。
「スエにも見えたろうガね?」
「ええ、ケンの身体から、大きなイタチ、ショウコの身体から、小さなイタチが飛び出して来て、御幣の中に逃げ込みましたよね……?そればかりか、あのお坊様が、イタチの姿に変身してしまったのですよ!まあ、あのお坊様も怪しいとは、思っていたのですけど……」
「スエ!『鎌鼬(かまいたち)』ユウ妖を知っチュウかよ?」
「はい!道を歩いていたら、急に痛みが走って、足に切り傷ができる奴でしょう?イタチの前足がカマキリみたいになっている、妖ですよね……?」
「まあ、一種のつむじ風による、殺傷とされチュウが、一説には、鎌鼬は三匹の鼬が共同しているそうなガよね……。一匹が風を起こし、人を転がす。二匹目が鎌で足を切り、三匹目が軟膏を塗って、切り傷を治す!とも言うガよ!」
「ええっ!じゃあ、ケンとショウコに憑いていた、イタチとあのお坊様は、もともと、チーム『鎌鼬』のメンバーだったのですか……?」
「ははは!チーム『鎌鼬』とは、面白い言い方やが、確かに、そのチームのリーダーやった、鎌の前足を持っていた鼬の、妖力が強くなって、人間に化けた。もともと、鼬は、狸や狐より、化ける能力があるガよ!それで、リーダーは坊主になって人間界で暮らすようになった。鎌を使って、悪縁を斬る!『縁切り坊主』で名をあげたがよ!残った二匹は、オスとメスの『オコジョ』という、鼬の妖となった。それぞれ、別々に活動していたんじゃが、偶然、再会したんガよね!ケンとショウコの身体を借りてな……!そこへ、スエとアイコの『荼枳尼天』の御札が迫ってきた!二匹は、怖くて、離れられなくなったガよ!寛善さんも、元の仲間の縁は切れんかったキ、アテに助太刀を頼んだガよね……」
「それで、このあとは、どうするのですか?いつまでも、御幣の中にいるわけには、いかないでしょう?」
「寛善さんの力で、二匹とも、人間に化けることになるろう……。オスは坊主の見習い、メスは、雑用係で、寺に落ち着くことになるろうね……」
「ショウコさんとケンは?」
「ああ!憑きモンが落ちたキ、ケンも正気に戻るろう!マザコンみたいヤキ、年増が好きみたいやケンド、まあ、ショウコには、もう惚れんろう、ねぇ……」
「あの人たち、『イタチごっこ』にならないといいですね……」
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