第5話 ノクターン①

白 

その日は雪が降っていた

ドキ ドキ ドキ

と胸が高鳴っていた


あの人がいた

私の目の前に

彼はいつもの様に

優しく微笑んでいた


年上で

憧れの人だった

今日こそ想いを打ち明けよう


ドキ ドキ ドキ


更に胸が高鳴った

握る手にも汗が出て来た


恥ずかしくなり舞は彼からの視線を逸らし顔を埋める様にうつむいた


「どうしたんだい?」


そう言いながらその人は訝しげに舞の顔を覗き込んだ


そして舞は意を決してその人に向かって

その想いを言葉にして伝えた


そして、舞の想いはその人に伝わったーー


だがそれは……


彼女を弄ぶ為の通過儀式でしか無かった


「汚された……」


それは舞の心の中の悲痛な慟哭だった








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