番外編4
番外編•もふもふの日?
「天狐の日じゃぞ!」
『全員集合〜!』
「……え?」
ある日、アマ様とクネツが突然押しかけてきた。更にコンやウカミに何事かを耳打ちした瞬間、ノリノリで何か始まってしまった。
突然の展開に俺はついていけるはずもなく素っ頓狂な声をあげて呆ける。
「何じゃ紳人、ノリが悪いぞ?」
「定期的に言われるけど大体置いてかれてるだけだよ!?」
神話になれと言われた少年並みに説明されないので、こうなるのも仕方ないと思うのは俺だけかな…?
「クネツは人間界に来るの初めてです〜!」
「いらっしゃいませ♪」
「妾も紳人の家は二度目じゃな!」
うん、俺だけだね!
ここはひとまず切り替えて…気になったことを聞いていこう。
「天狐って確か1番偉い御狐様ですよね」
「うむ。千年生きてかつ千里眼などの神通力を得て妾たちと同じ神となったものじゃ」
「皆は天狐だったんですか…?」
「妾は狼じゃな」
「私は天狐とは違いますね」
「クネツも神使です」
「わしは紳人の神様じゃ」
……。
『天狐の日しゅーりょー!!』
「何ぃぃぃ!?」
唐突に始まった何かは俺の質問一つで終わりを迎えちゃった。どうやら聞いてはいけないことだったみたい…。
「う〜む、誰が一番もふもふなのか紳人に決めてもらおうと思ったのじゃが」
「上手くはいかないですねぇ…」
「クネツももふもふされたかったです〜」
何ですって?
「……」
「……」
まずい。俺に撮って夢のような企画だったことに飛び付きたかったけど、コンから優しい微笑みとその裏に隠された鋭利な爪を剥けられている。
此処は大人しく引くしかないのか…!
楽しそうにしていたコンだけれど、実は俺は試されていんだ。
そういえば前に『神隔世』でウカミが言ってたもんね。
断りもなくもふもふするとお嫁に行けないと言われちゃうくらいだって。
逆に考えるんだ…もふらなくたって良いさ、と。
「残念じゃ〜」
「本当ですねぇ」
「よよよ〜」
アマ様、ウカミ、クネツが不意に背を向けて項垂れる。
何だか悪いことをしたみたいで申し訳な…、いや待て!
「こ、これは…!?」
ふりふり、ふりふり。
尻尾が三本…これ見よがしに揺れているッ!
あぁ何てことだ!彼女たちが尻尾を揺らすものだから、俺の目線が吸い寄せられてしまう!
美しい…何で美しいんだ!それはまるで、命と引き換えに放たれる少林寺の蝶のように!
「紳人、どうするのじゃ?彼奴ら
「コンの尻尾ですぅ!!」
「即答ではないか!?」
もふもふに優劣を付けるなんて俺には出来ない。けれど、愛するコンが潤んだ瞳の上目遣いで更に甘えるように囁くのだ。
愛情と衝動のままに、コンの尻尾へガバッとしかし抱きつく際にはそっと抱きつくしかないよ…!
「ふっふーん!じゃから先程言うたではないか、此奴は本数ではなくわしらが誰かを見ておるとな!」
「くぅぅ、悔しいのじゃ…よもやこの妾が!」
「ふふっ♪でも、弟くんらしいです」
「何となくそうではないかと思ってました…」
----その後もコンが何やら得意げに皆と話していたけれど。
その毛の艶や弾力そして温もりや匂い…コンの尻尾の全てに夢中になっていた俺の耳ではうまく聞き取れなかった。
あぁ、
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