嘘つきは、友達の始まり③
「ままま待って!一旦落ち着こう、な!?」
「え〜どうしよっかなぁ?」
どうしよう、凄い楽しい。
自分の一挙手一投足で翻弄する感覚!前にも感じたけれど、揶揄いたくなる気持ちも分かる気がする。
それに今回は俺が完全有利!神様を手玉に取る…フハハ凄いぞ!格好いいぞ〜!
「そういえば弟くん」
「はい?」
「さっきこっそり『ぐへへ妹さんは俺のもんだぜ』って言ってましたが、良かったのですか?」
「何のこと!?俺はそんなの一言も…言ってないから落ち着いてくださいね〜」
コンとアイラから鋭く尻尾の先を突きつけられ、両手を上げて降参の意を示す。
特にコンに至っては涙目で頰を膨らませているので精神的ダメージが大きい!
(ダメですよ紳人、程々にしましょうね?♪)
(ウカミ!はい…ごめんなさい)
(よろしい)
素早くウカミにお灸を据えられてしまった。
バチが当たった、ということかな…やりすぎには気を付けよう!
『おかしいですね…此処に約30分前くらいにお兄様が来た匂いがするんですが』
「「怖っ!!」」
外から聞こえたやけに具体的な呟きに思わず声を出してしまうと、アイラの声も重なった。
時間まで正確に言い当てられたんだ。
俺でさえ鳥肌立つのに、当事者たるアイラの恐怖は相当のものだろう。
「わ、分かったろ?一旦開けるのは待ってくれ…」
「でもこのままじゃと、アイラの頼みごとを解決してやれぬが」
「確かにそうですね。やはり開けてしまいますか?」
「よし!」
「良くないよ!?待ってよ本当に!」
神守家としては頼られた以上、どんなに苦しくてもやり遂げる愛と怒りと悲しみの信念で頑張りたい所存だ。
でも、どうやらアイラにとって俺たちの行動は尻尾をピンとさせるほどに驚くことみたい。
「大丈夫!臨死体験くらいなら話して送り返してもらえるよ」
「だから怖いってば!君本当に人間か!?」
「365°何処からどう見ても人間だよ」
「5°は人間じゃないようじゃな」
「その部分は何でしょう?」
いけない。365日と間違えちゃった。因みに自分としては残りと5°は秘密としておきたいところだね。
その方が何かこう、ミステリアスな雰囲気が出るでしょ!
「シアとしては、5°はケダモノだと思います!」
「何てことを!?ってあれ?君は…」
突然図星を突かれたような気がして咄嗟に横を振り向けば、翠色の綺麗な髪と猫の耳尾を持つコンより少し背の高い女の子が立っていた。
この声…彼女がアイラの妹さんで間違いない。
「どうやって入ったのじゃ!?」
「シアは真実を見極めるための力がありますから!」
「微妙に答えになっていないような…」
微苦笑を溢しながら、気まずそうに目を逸らしているアイラと熱烈な視線を向けるシアを見比べる。
不思議な兄妹の神様だな…と思った。
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