紳人と神使、似た者同士?③

「どうやってこの朴念仁さんを射止めたんです?」

「朴念仁!?」

「中々苦労したのじゃあ…しかも此奴と来たら、その後もてんで変わっとらん!」

「こ、コンさん?」


顔を突き合わせてわざと俺に聞こえる声量のヒソヒソ話が繰り広げられ、何度も声を掛けるが決して反応は返らない。


助けを求め、バッとウカミを見る。


「今日も良い天気ですね〜」

「ウカミ様!?」


ウカミは瞳を細め長閑に呟きを溢していた。


この『神隔世』において、気候は一年中春の陽気の如く穏やかである。


つまり天気なんて良い以外には無い。何を仰っているのか!?


「まぁそんなことは置いておくかの」

「はいです!」

「駄目です!」


……当然、俺の制止は聞き入れられなかった。


「それで、貴女は見つけたと言っていましたが…何かお困りごとですか?」

「そうではないです。今回は純粋に、お二人を私たちの里にお迎えしたいなって!」

「ふむ。面白そうじゃのう」


そして置き去りの俺と進んでいく会話。


クネツの話を聞く限り、今回は俺の呼ばれるところではないみたい。


「それじゃあ俺は先に家に帰ってるね。夕飯までには帰るのよ〜」


ひらひらと手を振って見送ろうとする。


「む?紳人、帰るのか?」

「うん。呼ばれてるのはコンたちだけみたいだし」

「あらあら、それはちょっと寂しいですね…」

「ご安心を!」


そんな俺に少しシュンとする二人に絆を感じていると、ポンとコンとウカミの中間ほどの胸を叩いてクネツは言った。


「クネツたち神使は皆、人間と直接話すのを夢見てるのです!やっぱり、目を合わせて話せると嬉しいですから!」

「……つまり?」

「大•歓•迎ですっ⭐︎」


きゃるんっ⭐︎とウィンクするクネツに…俺は物凄く、帰りたくなった。


嫌な予感しかしないからね!

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