第24話
陽だまりは、燦々と①
「ん、ぅ…」
愛しい温もりの中で目が覚める。
それだけで幸せが胸の内に溢れる中、ゆっくりと瞼を開いて隣を覗く。
「……」
規則正しい寝息を微かに立て紳人は未だに眠ったままじゃった。
寝室にはカーテン越しに陽光が差し込んでおるのに、部屋の中は電気がついておらぬ。
朝なのに未だに世界でここだけ眠りについているような、不思議な感覚…わしは好きじゃ。
紳人の腕から少しだけ頭を起こし、紳人とは反対側に眠るウカミの方を見てみる。
此方に背を向け時折その肩を膨らませては萎ませているので、まだ起きてはおらぬな。
再び紳人へと向き直り、そっと体を起こし寝顔を覗き込む。
何かといなくなりがちな此奴がわしの目の前でこうして眠っている。それがどんなにホッとして、嬉しいことか。
「分かっておるのか?お主よ…」
ちょんと鼻先を小突く悪戯をしてやると、一瞬むにゅっと顔を歪めるもののすぐにまたあどけない寝顔に戻った。
その反応があまりに可愛くて、つい頬や首筋、脇腹などをつついて悪戯を繰り返す。
その度に大なり小なりの反応が返ってくるので、きゅ〜ん!と可愛さの虜になってしもうた。
「ほれ、起きぬか紳人。起きねば…食べてしまうぞ?」
「…コ…ン」
起きておるのかおらんのか。途切れ途切れにわしを呼ぶ。
まぁかなり小声で囁いておるから、起きるほどの刺激ではないのじゃろう。
という訳で。
美味しくいただかせてもらうぞ♡
「すぅ…ん、ちゅむっ…」
いきなりしっぽり舌を絡めてしまいたいが、それでは折角寝てる紳人を起こしかねん。
もう少し寝てる此奴を堪能したいがため、まずは唇で甘噛みするような軽いキス。
ほんのりと熱を持ち柔らかな紳人の唇。
ちとばかし乾いておるような気がするが…なぁに、わしがキスで潤してやろう。
「ちぅ、ちゅっ…!」
一度唇を離してから、今度はピッタリと唇を重ね合わせ吸い付く深いキスじゃ。
舌を入れはしないものの片時も唇を離さぬ。
こんなに愛おしい熱、感触、甘い唇!離れろと言う方が無理というものよ。
呼吸なら元より鼻呼吸でしておるから、寝苦しくなることも無い。
つまり、起きるまでし放題じゃ♪
「ん、ふっ…ひはひ、いっほうへきとひうのも、ほのはりんは(しかし、一方的と言うのも、物足りんな)」
程良く堪能したし、此処からは…焦らしてばかりの此奴への意趣返しも兼ねて激しく行くとしよう。
「れる、ん…るぉ…!」
キスをしたまま舌を入れ、熱の籠った紳人の口内へ侵入した。
眠っているので真芯は温かいのじゃろう。愛おしくてつい頰が緩んでしまいながら、紳人の舌にわしの舌を絡ませる。
柔らかいのにしっかりと形のある不思議な感触を堪能しながら、唾液を舐めとるようにわしの舌で転がし貪るようにキスを重ねていく。
そして。
「ん〜…ぅうう!?」
朧げに瞼を開けて目覚めた紳人は、起き抜けからわしにキスされていることに気付き目を丸くしおった。
愛いやつめ…と思いつつ、何かを言いたそうなので舌を突き出したまま口を離してやる。
つ〜…と扇情的に舌と舌の間で橋がかかり暫しそれに目を奪われていた紳人は、顔を真っ赤にしながらこんなことを言う。
「コン!な、何でいきなりキスしてるの!?」
困惑しつつも声はウカミを気遣ってか小さいし、その口元が弛んでるのを隠しきれておらんのがこれまた可愛い。
揶揄っても良いが…此処は素直に甘えたいのう。
そう思って、誤魔化すことなく告げた。自分の唇に…片手を触れさせて微笑みながら。
「愛しておるお主とキスがしたかったから…では、ダメじゃったか?」
「----嬉しくて、困るなぁ。俺もコンのこと愛してるんだから」
わしが愛していると言えば、必ず此奴も返してくれる。
ただ名を呼ぶだけでも嬉しそうに返すのじゃから、敵わぬ。
さて…今日はどんな1日になるのか、楽しみじゃな!
「……そろそろ起きても良いですか?」
「「!?」」
そう言いながら、いつの間にか傍らから温かい笑みでわしらを見つめるウカミに揃ってビックリしてしまうのじゃった。
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