幕間その一:マッカーティさん

「そういやよぉ、フォルネぇ!」


酒に酔ったガリレオさんがダル絡みをしてきた。まぁ勝利の酒だ、たらふく飲んでも許されるだろう。

「なんですか?」


「あの〜ちっこいのが、水をドバァーってだしたときよぉ、どうやって回避したんだぁ?ワイらはずぶ濡れだったのによぉ」


あぁ、バーニングウィンズの事か。

「あれは魔術で凌いだんですよ」


「ほほー、魔術っちゅうのはえっらい便利なんやなぁ〜」


ガリレオさんはアリジュア大陸出身の剣士、李国流を上級まで極めた凄い人だ。

「ねね、それってどうやったの?操作系魔法でも使ったの?」


マッカーティさんか。この作戦に参加してる数少ない魔道騎士だ。

「いえ、咄嗟に『ファイア』と『ウィンズ』を組み合わせ—」


「え!?咄嗟に組み合わせたの!?そんな芸当ボクでもできないのに…」


魔術同士の組み合わせは難易度が高いのか?師匠はそんな事言ってなかったけど… そういえばあの人魔術に関してはなんも言ってなかったな…

「君なら将来的に大魔道騎士になれると思うよ。魔道騎士のボクは言ってるんだから間違いない!」


「そう、ですか」


「あれ?嬉しくないの?」


「いえ、嬉しいのは嬉しいです!ですけど… 僕、本当は魔道士になりたくて魔道院ここに来たんです。でも周りは魔道騎士の方が向いてるって… ちょっと複雑な気持ちなんです」


「あーそう言うことかー。ボクもね、昔、やりたくない事を大人たちの都合でやらされてたんだ。自分の気持ちを押し殺して、ただひたすらに、口に出すのが悍ましいほどの事やってきた」


マッカーティさんの表情が暗くなった、その悍ましい事とは大方見当がつく。

「でもね、ある人が助けてくれた、ボクを浄化してくれた、取り戻してくれたんだ。おかげで今は自分の好きなように、誰の指図を受けずに暮らせてる。あの人には一生をかけても返せない恩がある… だから君にもいつか、助けてくれる人が出てくると思うよ、ボクが保証する!」


「…そうですか」


「まぁボクの話と君の状況はだいぶ違うけどね!そこまで身構えなくても、嫌なら嫌って言えばいいのさ。逃げたいなら逃げたっていい、必ずしもそれが悪いなんて不条理はないんだから」


マッカーティさん、アラヒサくんが警戒してたけど、別に悪い人ではなさそう。昔は色々あっただろうけど、今はもう足を洗ったように見える。

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