第11話 ジビエ肉

 にゃんじろうは、アライグマのすき焼き屋の荒井に、冷凍庫にある肉をプレゼントした。


「ウサギ肉のお礼にゃ。ジビエ肉にゃ。すき焼きにすると美味いにゃ」

「ありがとう。ウサギ肉は美味かったライ?」

「かなり美味かったにゃ」

「それは良かったライ」 

「では」と、にゃんじろう達は帰っていった。


 荒井は大笑いした。

「お礼までしてくれるとは」


 そう、ウサギ肉とは、“屋根上のウサギ肉”だったのだ。そんなこととは知らずに、にゃんじろうはおでんにして食てしまった。


 そして、荒井達はすき焼き屋の残りのタレでジビエ肉を!

「あっさりとした赤肉だライ」


 その頃、にゃんじろう達は、

「今頃、奴らはあの肉を食っているにゃ」

「呑気なことだにゃ」


 話は変わって、世間では狂牛病が猛威を振るっていた。

 同族を食するとプリオンという蛋白質が猛威を振るい、脳みそがスカスカになり足がふらつき死ぬと。


「さ、さくらちゃん、足が足がふらつくにゃ」

「にゃんじろうさん、しっかり。病院に行きましょうにゃ」


 こちらは、すき焼き屋荒井でも、

「足が立たない。頭も痛いライ」


 そして、狂牛病になりにゃんじろうも荒井も死んだ。

「先生、死因は?」

「狂牛病、共食いでもしたのでしょう」


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猫のおでん屋 師走とうか @SHOTARO_INOUE

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