第7話:古道具屋
冒険者ギルドの入口前に到着した。オジサンには、そこで降ろしてもらう。
「改めて、色々あんがとね!」
私のお礼の言葉にオジサンは「おう。じゃあまたな」そう言って、さっさと行ってしまった。
案外、急ぎだったのかもしれない。
私は軽くだが、その場でオジサンの後ろ姿に頭を下げた。そして冒険者ギルドの入り口へと目を向ける。冒険者ギルドに来たは良いけど登録料がない。それに宿の手配もしなきゃだし。結構お金がいるとはオジサンの言葉だ。
という訳で、ギルドの入り口で適当な冒険者に声をかけた。
「ちわっす。ちょっといいですか?」
「おう」
声をかけたのは何かイガイガした感じの鎧をまとったスキンヘッドのオッサンだ。しかも右の額に刀傷まである。どこからどう見ても一般市民には見えない。
他にも一応、冒険者らしき人間は居ることは居るが、まぁたまたま目の前を通りかかったから声をかけてみた。ゲームをしてればこんな感じの人はいっぱいいるのだ。今更、怖くもない。
「この辺に武器を買い取ってくれる、お店ってあるん?」
私の質問にスキンヘッドのおじさんはニッカリという感じの笑顔で答えてくれた。
しかし、その笑顔。普通の子供だったら泣き出すぞ?
私は子供じゃないし慣れているので大丈夫だが。
「そうだなぁ、まぁこの近場で買い取りをしてくれる店というとヘンズの所かな」
「ヘンズの店?」
「おう。まぁ中古の武器や防具。道具を扱う店だ。ここからだとそこの脇道を行ってだな、しばらく真っ直ぐ進んだ道すがらにあるな」
「了解。おじさん。ありがとね」
そう言って私は筋道へと入っていく。
両脇には五階建ての建物がそびえ立ち、だいぶ薄暗い。
普通の女性なら絶対に通らないような道だろう。
しかし私は手元にウィンドウを開き、地図がマッピングされてるかどうかを確認していた。
「うん。マッピングはされているね。これはありがたい」
地図の中心に私が表示され、そのすぐ後ろには緑色の三角が表示されている。
どうやら私の後ろを付いて来る人物が居るようだ。しかし緑色の表記は敵対生物じゃなくて、むしろ一般市民を表す表記のはずだ。
たまたまなのか、はたまた何か目的があるのか。
私は少し考えて後ろを振り返り、相手を待つことにした。
しばらく立ち止まっていると、相手が姿を表した。さっきのスキンヘッドのおじさんだ。
私は目の前のウィンドウをちょくちょく見つつ、その表記がどう変化するのかを確認し続ける。
すると、おじさんが声をかけてきた。
「あぁ、すまん。心配だったから…… 余計、怖がらせたか?」
しかし私は首を左右に振る。ウィンドウの表記は緑のままだが油断は出来ない。おじさんが私の見ているウィンドウを見て首を傾げた。
「なんだそれ?」
「うん。私独自の魔法みたいなもの、だと思う?」
「魔法…… お嬢ちゃん、魔法使いなのか?」
「さぁ? でもまぁ、身を守る術は持ってはいるから大丈夫」
「あぁ、そうか。それは失礼をした」
そう言ってお互い沈黙してしまう。私は思わず苦笑い。それを見たオジサンも苦笑い。ここでこうやっていても仕方がないので私が妥協した。
「オジサン。案内してくれる?」
「あぁ。そうだな。お嬢ちゃんの前を歩こう。それなら一応安心だろ?」
「そだね」
こうしてオジサンの案内の下、ヘンズの古道具屋へと到着した。そこは地下へと階段が伸びている。
「ここだ」
「何でこんな辺鄙な所に?」
「さぁな。まぁ一つ言えることは変人なんだ。人が嫌いらしい」
「それなのに客商売?」
「まぁ、他に出来る仕事がなかったんだろ。俺も詳しくは知らん」
そう言って、オジサンが先に階段を降りていった。私は少し警戒したが、まぁここまで来たのだし、お金に困っているの事実なのだ。
仕方なしに少し遅れて階段を降りたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます