第100話 花の丘 🌼



朗らかに咲き揃ひたる弥生かな

のびやかにたゆたふ川や花の丘


谷深く物見の高く百千鳥

耕人の遠く近くに春の山


おもひやりベンチの坂や遠郭公

こゑこぼす野鳥すこやか春の森


鳥一羽とび出て来る朝ざくら

誘はれて行くお茶席の花の雨


サンバイザつけし小犬に花ふぶき

楊貴妃ざくら出窓に見張る母子猫


中庭にひかりあふれて茨の芽

モールへの道の左右に花蘇芳


三椏の花や原作まんが展

巻尺の素早い戻り別れ霜


駆けてゆく少女の髪や風ひかる

背を並べ赤白黄のチューリップ


ムスカリの瑠璃紺色の雅びかな

志向せるもの揺るがずや葱坊主


喇叭水仙うなじでラップきざみをり

さみどりをそよがせてゆく初音かな




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