第79話 中古車置場 🚙



一月の晦日の暁に期するもの

明けの月星したがへて春兆す


冬霞ねぼけまなこの犬がゐる

冬深し小屋に籠りて犬老いる


春待つや小鳥きよとんと首傾げ

ジャケットの千鳥格子や春近し


コンビニのATMに春日ざし

川沿ひの中古車置場日脚伸ぶ


和食屋のほつけ定食ひじき添へ

天井にサックス鳴かせ春を待つ


平安の切手シートや冬日和

青空に薄紅ぽつと冬木の芽


着払ひ出して安堵や日脚伸ぶ

ほたほたと振袖のごと牡丹雪


冬の果床の塵にも影立ちぬ

未熟なる過去に折合ひ春隣


突き詰めて考へる癖余寒かな

夕飯に餡パンおごる余寒かな


自転車のあかりゆらゆら冬帽子

さやさやと手をつなぎ合ふ寒昴




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