第52話 木の実ふる 🪇
公園の投手は少女木の実降る
ななかまど泉滾々湧きてをり
湧き水の美術館なり水引草
鍵束に委ねる暮らし秋深し
橡とちの実や祖母たんせいの和人形
シャカシャカと振るマラカスや茨の実
どんぐりのぶつかり合ふて笑ひけり
蓮の実やピアノレッスンスタカート
ひよんの笛愉快な音を出しにけり
桐の実をとほくへとばす夕まぐれ
垣添ひに音符ならべて楝あふちの実
榧かやの実の降る小道行くふたりかな
青みかん始発電車に客まばら
銀輪の眩き野辺に茱萸ぐみの赤
山ぶだう眼下の街にジャム工場
諧謔も味のうちなり木通あけびの実
箸を持つ手のふつくりと栗ごはん
パソコンの猫の手まるし銀杏の実
有の実や犬に抱かれて眠るやや
柿の秋ラップのやうに詠む俳句
ランナーの虹色めがね実南天
七色のポケットチーフ棗なつめの実
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