第38話 つゆくさ 🌼



露草の角を曲れば川の音

月草や一つ星見て月隠れ


夜は空の星になりたる螢草

月草の五つ六つと群れ咲きぬ


つゆくさに犬鼻寄せて立ち止まる

行き過ぎて立ち止まる猫ほたる草


露草に小鳥来てゐる朝の路地

月草や昨夜の雨に洗はわれて


水音に育てられたるほたる草

つゆくさの薄紫のなみだかな


月草は庭の花とも野辺のとも

蛍草タクシー止まる夜明け前


露草を自分の花と決めにけり

月草で真白き布を染めにけり


ほうほうほう螢の宿の蛍草

露草に久女の下駄の鼻緒かな


月草のはらりとこぼす滴あり

昼の星地上へ降りてほたる草


つゆ草の小花や蝶の舞ふ如く

月草や銀輪すいと通りゆく




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