第36話 時代
グロンダール領は無駄に広い領地らしく、土地は有り余っているとのことだ。
そのせいで宿までの距離もかなりある。
馬まで用意してもらった。
「スロール殿はどのようなスキルをお持ちで?」
「私ですか?」
グロールさんが口を開く。
兵をぞろぞろと連れて街道を歩いていく。
確かにここは訳ありな人達が集まっている。
この兵達も皆が訳ありなのだろう。
少し気になる。
「私のスキルは『家事』です。剣なんてここに来るまで握ったことがありませんでした。」
『家事』とは全ての家事を難なくこなすことが出来るスキルである。
そして、兵達は全て銃とやらを抱えている。
一応腰に剣をさしてはいるが。
「この兵達も荒事なぞからはかけ離れた生活を送っていた者達です。スキル、人種によって迫害され、行き場を無くしてここに来た者達です。」
「成る程……。」
スロール達は俺達一行が人種に拠らない組み合わせなので親近感を覚えているのだろうか。
偶然そうなったのだが。
「……因みにですが、宿というのはあちらですか?」
「ええ。絶対に安全な宿です。」
うすうす気付いていたが、眼の前に見える廃城。
あれが宿なのか。
確かに安全ではあるな。
「我々で改修し、戦えるようにしてあります。抜けはありません。規模も小さいのでこの兵と、駐屯している部隊で十分に見張れます。」
「……スロール殿。何故、ここまでの軍備を整えているのですか?我々が来るから改修したわけでは無いでしょう。」
グロールさんが口を開く。
確かに、ここは最前線ではないし、領内の事情からも兵を最前線に送ることは無い。
それに、敵がこの何の価値も無い領地を狙うとも思えない。
何故城を改修する必要があるのだろうか。
「……それについては後日、我が主よりお聞き下さい。」
「ま、今日は何だか疲れちゃいましたし、早く休みましょう!」
その不穏な空気を読み取ったのかレインさんが明るく振る舞う。
「それもそうですね。明日から任務は再開します。そのためにも早く休みましょうか。」
そんな話をしていると、城門についた。
「開門!」
スロールの声で門が開く。
すると、城内にはスロール達と同じようなボロボロの鎧を身に纏った兵達がいた。
「これが宿……。」
その光景に思わずエドワードが口を開いた。
まぁ、気持ちは分かる。
例の二人もキョロキョロと辺りを見渡している。
「凄えっす!」
「まるで城の主になったようだな!」
まぁ、バカ二人は放って置こう。
「ベッドや部屋は今ご用意できる物で最上級のものを用意いたしました。」
「じゃあ、早速案内してもらえますか?」
レインさんが率先して話す。
どうやら本当に結構疲れていたらしい。
「ええ。勿論です。」
何はともあれ、今夜は何事もなく終われるだろう。
まぁ、明日に備えてゆっくり休もう。
保有スキル
『隠密』 強制的に相手の認識外になる
『不意打ち』 相手が認識していない場合攻撃力が二倍。
『奇襲』 相手が認識していない場合攻撃力が五倍。
『俊足』 発動してから三十秒間、速度が五倍。
『回復』 致命傷以外なら即座に回復可能。
『ファイアボール』火の玉を放つ。
『ライトニング』 雷撃を放つ。
『模倣』 相手の動き、言動等を習得出来る。
『調合』 薬を即座に調合出来る。
『キャンプ』 好きな場所にキャンプを展開可能。
『剣聖』 全ての能力が五倍。
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