第14話 砂の王国の砂
あたしの恋はいつも砂上の楼閣。一粒の砂になりきれないプライドのせいで、現実という波風に煽られて虚栄の王国は散り散りになっていく。
誰にだって美しき理想はあるもの。だけど、砂をいくら掻き集めても自分の想い描く王国を作ることはできない。砂の王国はただの幻影。どれだけ砂があっても、一粒の砂に魂を託しても、実体を作り上げることはできない。
あたしは砂の王国の民。一握の砂に想いを込めて貴女に投げつける。その砂たちはあなたの心に届く前にサラサラと風に乗って舞ってゆく。ただの砂埃があなたの顔にかかり、あなたはあたしに苦い顔を見せる。
実らぬ恋など砂のようなもの。何も与えてはもらえず、誰にも与えることのできない、虚しく愚かな砂。だけど、あなたをどうしても引き留めたくて、見栄だと笑われようが、あたしは両手で砂を集めることをやめず、二人の住む城を作ろうとする。
あなたにはこの楼閣にわたしの想いがあること知って欲しい。わたしは砂を集めて作り続ける。やがて完成した楼閣をあなたに見せて微笑む。するとあなたは、そんな基礎も土台もない砂の城に本物の魅力も感じることができなくて、泣きながらただの砂の塊へと変えてしまう。
砂の王国が砂が絶望する様を見る。王国の砂たるもの達はみな、所詮はただの砂であることを思い知り、魂ごと空に舞い上がりながら、次の死地へと運ばれていく。
(没作より)
※「砂の王国の砂」「心霊のスーツ」「恋愛カレンダー」のお題を使って書く企画に詩(というかポエム?)で参加しようと思ったのですが、「心霊のスーツ」がなかなか思いつかず、断念いたしました。(2024.2.18)
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