第11話 Brilliant Star 第一話
「明日、大きな隕石がやってきて、地球が終わるんだって」
「それはなかなか面白い話だね」
少年は少女の突拍子もない与太話に付き合う気がないらしく、曖昧な感想を述べて終わらせようとした。だが、少女は大きな瞳を少年の前に向けて再度伝える。
「明日、大きな隕石がやってきて、地球が終わるんだよ?」
「どうして?」
「どうしてって、隕石が来るからでしょう。地球上の生命なんか、軽く消し飛んでしまうじゃん」
「そんな情報、テレビでもネットのニュースでも伝えてはいなかったけど。どこの偽情報を掴まされたんだい?」
「そんなんじゃないわよ」
生徒が入ることを禁止されている中学校の屋上にこっそりと忍び込んでいる二人の生徒は、昼休みの時間に地球の終焉について話し合っている。少女は真剣に、少年は疑わし気に。
「夢でお告げがあったのよ。明日、地球が終わるって」
「夢かぁ」
「あ、またアンタは、あたしの妄想だと思っているんでしょう?」
少年は笑うのを堪えている。幼馴染の少女の機嫌を損なうのはマズイと思ってのことであるが、表情までは隠すことができず、結局は少女に咎められてしまう。少女のあどけない顔に怒気を感じると、少年はフォローにまわることにした。
「いや、だって。それはただの夢かもしれないじゃない。しかも、地球最後の日を知っているのは君と僕だけって、そんな都合の、あ、いや、ロマンティックな話、信じられると思う?」
少年のオブラートに包んだ抗議に少女は鼻を鳴らして反論する。
「それはきっと、神様があたし達に準備時間をくれたのよ」
「準備、何の?」
「――悔いの残らないための時間」
少女はさも当たり前のように言うので、少年は軽く肩を竦める。
「僕には悔いの残ることはないけどね。せいぜい、君から借りたBlu-ray Discを返すくらいかな」
「相変わらず、小さい男よね」
少女は呆れながら立ち上がり、制服のスカートを叩く。手が裾をめくりあげそうになり、慌ててスカートをおさえる。
「……言っておくけれど、今日は見せパン、履いてないからね」
「それって、地球が滅ぶ前に言うことなのかな」
「だって、見たそうな顔をしたじゃない」
「まさか。あ、でも、どうせ明日で世界がなくなるのであれば、パンツを見られるなんて、どうでもいいことじゃないの?」
「どうでもいいことじゃないよ。恥ずかしいじゃないの」
少女の恥じらいに、少年はあいまいに照れ笑いをしながら頷く。
「じゃあさ。君の言う通りに明日地球が終わるとして、これからどうするの?」
「え! 信じてくれたんだ」
「うん。まあ、仮に、だけど。で、どうするの?」
少女は目を輝かせながら少年と腕を組む。
「それは決まっているわ。デートをするのよ」
「ふうん。でも君の好きな二組の香川とでなくて、僕でもいいの?」
「アンタ、香川君に『明日地球が終わるから、付き合ってください。今からデートしましょう!』ってコクって、OKをもらえると思う?」
「そこは常識的なんだ……」
少年が苦笑すると、少女は腕を離し、少年にデコピンする。
「当たり前じゃない。こんな与太話、誰が信じるのよ!」
「ええぇ……」
少女の支離滅裂な言動に、少年はただ困惑と苦笑いをするしかなかった。
(続)
※ここから、「第3話 Birilliant Starのラストシーン」にどう繋ぐかのアイデアがまったく浮かばないまま次話へ。(2024.2.16)
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