第20話 計画
そして翌日。なんか大事そうな話し合いに呼ばれた。なんかこう、木のテーブルが置かれていて、日本で言う会議室みたいな感じだ。
ここで今から話し合いがお粉wれるのかと思うと、少し緊張してしまう。私はコミュ力が終わってるからさあ。
まあいざとなれば力で脅せばいいだけだけど。
「さて、皆さん決まりましたか?」
「ああ、我々は君を信用しない」
その瞬間、空気が冷たくなった。まあ私の魔法によってだが。
(冷気をこっそりと出している)
しかし、信用しない? こんな好条件なんか他には無いのに? いや、逆に好条件だから怪しすぎて振られたのかもしれないけど。
さて、この状況どうするか……前述したとおり、力でねじ伏せてもいいんだけど、それじゃあ、交渉にはならない。人間に恨みを持った魔族によって人間が滅ぼされるという構図もできない。
じゃあ! どうするか。
答えは簡単だ。
「そうですか。なら諦めます」
と言って私は村を後にした。もちろんこの
もちろん恐喝ではない。それよりも平和的な方法だ。
漫画のキャラがこういう状況になった時に、漫画の主人公が何をするか。その答えは簡単だ。窮地に陥った村を助ける。
そういう言うことだ。そうすれば、誰にも恨まれることなく私の目的が達成できる。しかし、犠牲を出したほうがいいのかな? この場合。だって未然に防ぐだけじゃあ、ありがたみがなくなるかもしれないし、それなら数人くらい死んだ後に、村に入ればいいのかなあ。
そして、翌日私は計画を実行した。計画とはこうだ。魔物を呼び寄せる魔法を使い、それにより、魔物を集める。そこで、魔物に村を襲わせる。そうだなあ、大したことのない魔物だと、村にあまり損害を与えられずにラドルフさんに上手く魔物たちを倒されてしまうかもしれないなあ。そうなったら嫌だが、実際強いらしいしなあ。もう仕方ない私の方で強化するしかない。
とはいえ、私が使役できるのは、竜だけだ。竜を使役して襲ってもいいのだが、そうなったらあの人たちの前で竜を使いにくくなってしまう。そう言うアイテムでもあればいいのだが……
やばい考えれば考えるほど、私の計画に穴が見られてしまう、これはもうどうしようもないのか? もう詰みなのか?
いや、方法はまだあるはずだ。考えろ、この足りない頭で。
そしてまた方法を思いついた。それは、私自身で魔物を作り出すことだ。別に不可能ではない。実際に魔物を作る闇魔術と言うのを見たことがある。だが、それにも問題がある。いや、今までのやつに比べたら大したことではないのだが……町に戻る必要がある。それは面倒くさい。それによく考えたら時間をかけてしまったらやらせを疑われてしまう。
「もういいや!」
私は結審した。シンプルに行こう! と。
強化してない魔物でもいけるでしょという安易な考えで、魔物を呼び寄せる。
「魔物だあああああ!!!」
「ラドルフ様を呼べ!」
村は早速大騒ぎになったようだ。魔物が瞬殺されたらどうしようかと思ったけど、そんなことはなかったようだ。魔物、されども魔物。魔族の人たちも恐れる対象にはなっているらしい。
しかし、部分的とはいえ、私を受け入れなかった人たちがこんな目にあっているのを見ると、少し心が落ち着く。いい気味だ。あはははは。
っと、こんなことをしている場合じゃなかった。今は……私を信用してもらわないと。
「ねえ、私の助けはいるかしら」
そう、屋根の上に立って言い放った。
「君は、さっきの人間!!」
一人の魔族がそれに対して返事をした。
「そう。さっき魔物が変な動きをしていたから妙だと思って、ここに来たら案の定だったわけ。久しぶり!」
「久しぶりとかはそんな世間話はいらない。どうか助けてくれ」
さっき私を拒絶してたくせに? 虫のいい話ね。まあそうならないと困るのは私だけど。まあ、兎に角、この状況、使わない手はないわ。
「ウインドスラッシュ! サンダーフォース! ファイヤートルネード! アイスアロー!」
四つの魔法で、一気に複数隊の魔物を殺していく。たぶん今ので二十体は死んだね。
「ありがとうございます。これで窮地は脱することが出来ました。あなたのおかげです」
ふん。さっきまで私を拒絶してたのはどこのどいつなんだよ。私は、私の楽しみへと利用しようとしただけなのに。おっと、言葉を間違えた。人間への復讐の手助けをしようと思っただけなのにだった。
「はあ、次行きますよ!」
と、また同じ魔法を使って、雑魚どもを蹴散らしていく。ラドルフが来るまでに終わらせたいところだ。まあ、距離も近いはずだし、すぐに来るとは思うが。
「これは……」
ラドルフが来た。まあもうすでに魔物は全滅させている。ラドルフさんの手番はもうないという訳だ。簡単だったな。これで交渉できるだろう。
「さて、この力を見て、私を仲間に加えてくれる気になったかい?」
そうラドルフさんに告げる。私の想像ではラドルフさんは恩に厚い人だ。きっと、私の手を取ってくれるだろう。そしてその間に、魔物をもう少し登場させておく。どうするかって? 竜を使って村に魔物を呼び寄せているに他ならない。
「おっと、新手だね」
そう言って、地面を隆起させて魔物を串殺きにする。
「危ないところでしたね。全滅させてたと思ったら来てましたね」
笑顔で言い放つ。笑顔は武器だ。周りを油断させ、いい人に見せる。本当は私はこの人たちにとって悪い人なんだけどね。
「さて……」
「さて、か。もうそんな言葉はいらん」
あれ、失敗した?
「もう君は私たちの仲間だ。私たちと共に人間どもを倒してほしい」
跪かれてしまった。いや、別に悪いことではないんだけどね。まあ何はともあれ、これで私の交渉は成功だね。これで人間を攻める大木名分が出来た。
「それで、いつ攻めます?」
「いつか。まああ、私はいつでもいいから、そっちの準備が整ったらでいいよ」
「わかりました。とりあえず五回太陽が昇る頃にはできるかと」
「わかった」
五日って言うんだけど、それは魔族にはわからなかったかな?
「じゃあ、その時になったら呼んで?」
「わかりました」
そして、ベッドに横たわる。ああ、暇だ。早くイベントでも起こってください。
そのままベッドに寝て、過ごした。でも暇だから、流石に一日目の夜には外に出た。この近くに星の出るところはないかというまるで文学少女のような理由で。
まったく私にはそんな趣味はないというのに。
そんな感じでしばらく歩いた後、よさそうな谷を見つけた。
ここだなとすぐに谷に行く。するとそこには先客がいるようだった。
ラドルフ サンダーテイン。彼だった。
まさか彼がいるとは思わなかったが……はあ面倒くさい。私は一人でいた言うのに。でも、流石に今から帰るっていうのは嫌だ、彼にとりあえず話しかけてみる。
「ねえ」
「ん。 詩音殿か」
「ええ。そまさか先客がいるとは思わなかったけれど」
「それは……考え事をしていたんだ」
「何の?」
「私は、まさかこんなチャンスが生じるとは思っていなかった。確かに人間には抵抗運動をしていた。だが、人間の戦力は強い。アリゲルド王国などの沢山の国がある。それをすべて滅ぼすのなんて正直諦めていたんだ。だが、今君がここにいてくれる。それだけでありがたいんだ」
「……そう。私もうれしいわ。まさかこうした形で味方を得られるとは思ってなかったし」
「私もだ。せっかくだから同志で星を眺めよう」
「……っそうだね」
私らしくない。恋愛漫画のようなテンションで答えてしまったかもしれない。まあ、それは置いとき、私にとっては彼に何の思い入れがない。
せめて暇つぶしになればいいのだが、どうも冗長な言葉ばかりであまり面白くもない。もしや、この人話し下手か?
だが、私の親密度を上げるためだ。我慢! 我慢大事!
「きれいだね」
「ああ」
「この星どうなってるんだろう」
「そりゃあ、浮かんではいるだろ」
「……それはそうだね」
「私は、あの星にも人間が住んでると思う。素晴らしいことだと思わないか?」
「そうだね」
まあ、私の世界では人は住んでないんだけど。
「俺はな、あの星を見ると元気が出るんだ。世界は広いってな。必ず成功させよう」
「……ええ」
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