第10話 竜の使役

「いええええええーーーーー!!!!!!! お邪魔しまーす!!!」


 三日後。私は早速その場所、竜の生息する場所へと向かった。


 そこには巨大な岩がたくさんあった。確かに竜が住むところと言えば、なんとなく岩があるイメージがある。とはいえ、私はそんなことあまり知らない。

 そして、岩山に一歩足を踏み入れると、竜の咆哮が聴こえた。そして、気がついたら百頭にも及ぶ竜が私を見下ろしていた。


 あ、これ駄目だ。死んだわ。


 私は生きてここから帰れるのだろうか。いや、無理かもしれない。


 でも、だめだ弱気になったら!!!! 私は勝てる!!!!!! 私はこの世界の主人公なんだから。


そして……硬直状態に入った、竜が先に仕掛けるのか、それとも私が仕掛けるのか。

追う言うのは先に仕掛けるほう方がいい!! ということで私が先に動いた。そして竜の方へと手をかざし、


「ファイヤーーー!!」


 と言いかけたが、やめた。


 ドラゴンは炎に強いのが常だ。これじゃあ勝てない。また同じ過ちを繰り返すところだった。


 ……となれば、氷か。確かどっかのゲームで竜は氷に弱かったはずだ。


「アイスレイン!!!」


 と、氷の雨を降らす。冷たい冷たい氷の礫を。それを食らい、竜たちは痛がっている。

 どうやら私の攻撃はしっかりと通っているらしい。


「ん? あれ?」


 竜たちはダメージを受けている。それは事実だ。だけど、適応したのだろうか、段々とそれを気にせずにこちらに向かってきた、


 それからわかる事実は一つ……完全にひ怯ませるほどには攻撃力が足りなかったということだ。そして、その分析中にあっさりと竜に踏みつぶされてしまった。

 骨が折れる音がする。無知のまま竜の里に足を踏み入れてしまった天罰……天罰っていうのむかつくから他の言い方にしたいけど語彙力がない。まあ、それは置いといて、罰だ。


 だけど……。


「罰ごときに左右される私ではない!!!」


 別に殺さなくてもいいのだ。使役できる程度まで体力を減らせば。


 とりあえず私の体を冷たくし、それに接触している竜の足を凍らせ、そこに思い切り風を強く当て、竜を転げさせた。私の傷は不死身が直してくれる。よし!!! このまま!!


「私の物になれ!!!! アイスレイジ!!!」


 周りを氷で包み込む。気温をマイナス一〇度以下にした。私も寒すぎて死にそうだけど。ギリギリ大丈夫!!

なんせ、不死身だもん!!


「このまま押し切れ!!! アイスボンバー!!」


 私の意味不明な詠唱から出た魔法は雪の爆発だ。それにより雪の量を増やし、その雪を竜に当てる。これで行けるはずだ!!!


「轟け!! 氷の嵐よ。吹き飛べ竜よ!!!!」



 そして、竜の里一面を氷に閉ざした。これで私の勝ちだ……と、死んでたらどうしよう!!!


「確認しなくちゃ!!」


 そして確認に行くと、竜は生きていた。その光景から察するに、私の攻撃力が足りなかったわけじゃない、竜が自身の体温を熱くして氷を溶かしたのだ。


「ねええ、そんなのあり?」


 と聞くが、ありなのだろう。マジでさっさと私の物になれよ。マジ面倒くさい。


「アイスブレイク!!!!」


 氷を纏った拳で殴る。ちゃんと効いてるみたいだが、少し攻撃力が足りないらしく、鱗で防がれてしまっている。何より、その回復力だ。ダメージがほとんど回復している……まあ私の攻撃であまりダメージを受けていなかっただけかもしれないけど。


「もういいや!!!」


 全力を込める。それには合体魔法だ。氷と風……それじゃあ足りない。水も含めた三点攻撃だ。


「アイスウインドウォーターブレイク!!」


 その私のダサい技名から繰り出された攻撃は純粋な氷に、氷で固めた水で量を増やして、冷たい風で押し出す物だ。かなり魔力は食うが、流石にこれで終わってほしい。馬鹿な私なりに考えた必殺技だ。


「アイスメルストリーム!!!」


 なんか水が消えたが、別にいいだろう。技を使っている最中に技名を変えても何も問題はないだろう。


「死ねええええええええええ」


 まあ死んだら困るのは私だけど。


 そしてそのまま竜たちに直撃する。さあ、終わってくれ。もう面倒くさいことはやめてほしい。


 そのまま竜は凍りつけになっていた。今回は技のスピードも意識したのだ。これで生き残っている道理はない。竜の体温が当たったらどうするか? 私がそんなへまを再びするわけが無かろう。常に私の魔力で竜の体温を奪っているのさ、体温の上昇分も含めてね。


「よし、勝った!!! あ、そうだ早く使役しないと」


 使役……少数じゃだめだ。もう全員使役だ。そうすることで私は最強になれるし、飛ぶヒントも分かるし、竜に乗れる!!!



「よし、使役!!!!」


 と、全員に使役魔法をかける。するとすんなりと、使役成功した。


「私の仲間だね。これで。これからよろしく。竜たち」

「りゅおおおおん」


 と叫びだした。全くうるさいやつらだ。私は彼らの頭を軽く撫でてやり、そのまま竜に乗った。


「うわあああ、気持ちよく……ないわ全然」


 飛ぶ気持ちを味わえるのかなと思った私がばかだった。私自身の翼で飛ばなくては、たいして気持ち良くはない。これだったら走っている方がましだ。まあ、風が気持ちいいのはいいことだが。


「さーてと」


 寝よう。疲れたし。そしてそのまま眠りに落ちた。

次に目が覚めた時は、私は無事に目的地へとついているだろう。

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