また平凡な日々へ


俺たちはお母さんについて行くと食堂と書かれた部屋の前に着いた。お母さんは扉を開けると、そこには大きなテーブルにお子様ランチや何個も積まれたハンバーグがあった。そして、椅子に座っている藤さんは優雅にハンバーグを食べている。


「「おぉ〜!」」


「あらっ?ようやく来ましたの?」


ハンバーグに隠れて見えなかった桜がひょっこりと顔を出す。口の周りはケチャップでビチャビチャでお嬢様とは思えない食べ方をしていた。


「口、ケチャップまみれだぞ」


「構いませんわ!お母様もそう思いますよね!」


「そうですわ。ここでは無礼講ですのよ」


藤さんは顔を横に向ける気配はなく、ハンバーグを半分ほど切って一口で食べていた。あれは普通より大きく切ってる...あっ片方だけ汚して食べてるってことね。


「じゃあ俺達もご飯を食べよっか」


「「「「はい!」」」」


俺たちは席に着くと手を合わせ、ご飯を食べ始める。あまりの美味さにまた手が止まらず、いつの間にか食べ終わってしまった。


「...また食べすぎてしまった」


「「「また体重が...」」」


俺とお母さんたちは頭を抱える。今度からは1人分だけを小分けにしてもらうようにしよう。そうしないとまた止まらなくなってしまう。

俺はカナ姉にそう言うとガッカリしている様子だったが、なにか思いついたのだろう。よからぬことでは無いことを祈りたい。


「さて、これからのことですが...」


藤さんはナプキンで口を拭きながら、話しかけてくる。今、ナプキンを見て、やばっ!て顔したな?お上品に食べたつもりが違ったんだな。


「皆様にはまた別の家をご用意致しますわ。ここは私の家ですの。連れてくる時はバレては行けませんので眠らしましたけれど。もう一件落着したことですし、なにか希望があれば言ってくださいませ」


「で、では」


お母さんが小さく手を上げる。


「はい、照史ママ。もしかして照史くんとの結婚式を許してくれ..ゴキゴキ...嘘です、すみません」


「えっとですね。保育園の近くであればありがたいです」


「わかりました。手配しましょう。美海ちゃんママもそれでいいですか?」


美海ちゃんママは静かにうなづいた。


「よろしい。では、早速手配しますわ。それと迷惑料も含めこちらで費用は負担いたします。ふむ、そろそろ時間ですわね。誰か!」


「はい、こちらに」


藤さんの問いかけに天井から現れたのはあの時の忍者の人だった。だが、服装がメイドだった。


「この子達をあの場所に連れて行ってあげなさい。先生とあの料理人も一緒に連れていきなさい」


「御意」


忍者さんは俺に近づくと首をトンッと叩く。だから、俺はまだ五歳...


「眠っていれば終わりますよ...じゃ...」


俺はまた気を失う羽目になった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「...ーい。...ちゃん聞こえ...か?」


「え?」


「おっ?ようやくお目覚めか。えらい寝とったで?なんや同じクラスの子の家に泊まっとったんやろ?やるやないか!」


気がつけば俺は俺のクラスの前で雑魚寝しており、目の前には圭介くんが居た。


「あの子たちは?」


「アイツらはとっくに起きとるで?兄ちゃんだけやえらい寝てはるのは」


俺は体を起こすと首に痛みが走る。

あの野郎...またやりやがったな?


「何があったのかは気になるが、詮索はせんとくわな。それより早よクラス行った方がええで?」


圭介くんは顎をクラスの方へと向ける。俺はそちらの方を見ると窓ガラスにへばりついてこちらを見ている園児たちがいた。


「...昨日は濃い1日だったよ」


「...そうか。初日から大変やな!なんかあったら俺に言えよ!俺も手伝うわ!」


「ありがとう」


俺は圭介くんにお礼を言うと自分のクラスへ入る。今日はみんなと何をしようかな?


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