周到に計画された嘘告に騙された僕は悲しみのあまり廃神社で神様に願った そしたら超絶美少女の縁結びの神様が僕の彼女になってくれた件 ~神様から毎日溺愛されて幸せです~
栗坊
僕の気になる女の子
僕の名前は
そんな僕だが最近気になっている女の子がいる。それは同じクラスの
腰まであるサラサラの金髪ロングの髪、そのきれいな金髪の1部を右側で結んでサイドテールにしている。顔は可愛い系の顔でパッチリとした目がチャーミング。その目で見つめられると思わず心臓の鼓動が早くなってしまう。
親しみやすい性格をしており、僕たちのような陰キャにも気軽に声をかけてくれるまさに天使だ。
そんな彼女は当然ながらいつもクラスの中心にいた。
トップカーストの彼女と底辺の僕。2人が交じり合う事など決してない…届かない恋。
ほとんどの人はそう思うだろう。
しかし、僕はもしかすると猫田さんは僕に気があるのではないかと疑っていた。
3ヶ月ほど前…文化祭準備の際に重い荷物を持っている彼女を助けた縁から僕たちは仲良くなり、そこから彼女は僕に対して段々気のあるような素振りをしてくるようになったのだ。
僕がそう思った根拠は…まず僕と猫田さんは頻繁に目が合う。
僕の席は廊下側の1番後ろの席で、彼女は教室中央辺りの席に座っている。
僕が猫田さんの方を見ていると彼女も時折振り返ってこちらを見て来るのだ。そして目が合うと彼女は微笑んで小さく手を振って来る。
僕はそれが恥ずかしくて顔を背けてしまうが、なんとも思っていない相手に普通このような仕草はしないだろう。
2つ目はメッセージの返信が早い。
僕と彼女はl〇ne…スマホのメッセージアプリのIDを交換しているのだが、僕が何かしらメッセージを送るとすぐに既読が付き、返信をくれるのだ。
ところが猫田さんとl〇neを交換している他のクラスメイトたちに話を聞いてみると、別にそんな事は無いという。彼女の返信スピードは普通ぐらいだそうだ。
そう…僕のメッセージだけ異様に返信が早いのだ。
3つ目は2人きりの時に僕に好意を持っているかのような言葉を伝えて来る。
僕と猫田さんは帰る方向が同じでたまに一緒に帰ったりするのだが、その時に「鷹野っちといると安心する」とか「鷹野っちの好みのタイプはどんな女の子?」とか「彼氏にするなら鷹野っちのような人が良い」と言ってくるのだ。
興味のない人間にこのような話を振ったりはしないだろう。
以上が猫田さんが僕に好意を持っているのではないかと推測するに至った理由だ。
そして今も…僕と彼女は学校からの帰り道を並んで歩いている。
○○○
2月、季節は冬真っ只中。雪こそ振っていないが、身も凍えるような風が僕たちを襲う。僕はそんな冬の風になんとか耐えながら、猫田さんと一緒に歩いていた。
もうあと1ヶ月と少しで高校2年生も終わりだ。
3年生に進級すると猫田さん初め、クラスの仲の良い友人たちとは別のクラスになるかもしれないし、自分の目標とする進路に向けて本格的に受験勉強を始めなければならない。
そうなれば今みたいに彼女とのんびり一緒に帰ったりはできなくなるだろう。
僕はそれを…彼女との縁が切れてしまう事を名残惜しく感じていた。
僕は猫田さんに好意を抱いている。
そして彼女も僕の事を好き…なのかもしれない。
だから彼女に自分の想いを伝えようかどうか迷っていた。
でもなかなかその踏ん切りはつかなかった。僕は陰キャ故に恋愛面にあまり自信がないのだ。
僕はそんな悶々とした感情を抱えながら、隣を歩く猫田さんの横顔をチラリと盗み見る。
寒さにより、猫田さんの雪のような肌に赤みがさしていた。彼女は真っ白な息を自分の両手に吐きかけ、手をこすり合わせて少しでも温めようとしている。
そんな彼女の素朴な仕草すら可愛らしく感じてしまう。僕の心はもはや完全に彼女に奪われていた。
「うぅ…今年の冬も寒いなぁ。夏はむちゃくちゃ暑かったから冬は暖かくなると思ったのに」
「今年はラニーニャ現象の影響で夏は酷暑、冬は厳冬らしいからね」
「えぇ~…じゃあむっちゃ寒いじゃん」
「猫田さんは寒いの苦手そうだね」
「そうだよ。あれ? 私…鷹野っちに寒いの苦手って話したっけ?」
「いや、何となくイメージ的に…」
「なにそれ? あっ、もしかして私の名字が猫田だからとか? 猫はこたつで丸くなるって?」
「まぁ、そんな感じ」
「あんちょく~。確かに寒いのは苦手だけど、私は別に猫っぽく…ないよね?」
「何で疑問形?」
他愛もない話をしながら彼女と帰り道を歩いていく。どこにでもある普通の光景。でもそんななんでもないような事が僕にとっては幸福だった。
しばらく歩いていると目の前に自販機を発見した。僕は寒そうにしている猫田さんにホットのココアを購入して渡した。
「はい、ココア。暖まるよ。お金は気にしないで、猫田さんにはいつもお世話になってるし」
「ありがとう…。鷹野っちは優しいね、私が寒そうにしていたから暖かいココアを買ってくれたんだ? 鷹野っちのそういうとこ、いいと思うよ。…あなたの彼女になる人は幸せだろうね」
「う゛っ…」
猫田さんは僕からココアを受け取ると意味深な笑みを浮かべた。僕は彼女の顔を直視できずに、顔を少し背ける。
やはり彼女は僕の事が好きなのだろうか?
いや、でも…。
恋愛に疎い僕にはその判別がつかなかった。
彼女はココア缶のプルタブをあけて中身を一口飲む。そして「ふぅ」と一息ついた。口から白い息が漏れる。
「暖かい…。あっ、ココアで思い出したんだけど、もう少しでバレンタインだね」
「バレンタイン?」
2月にはそんな名前のイベントがあったのをすっかり忘れていた。なんせ今まで僕の人生にはまったく縁のなかったイベントなので、その存在を失念していたのだ。
バレンタイン。女の子が気になる男の子に想いを込めてチョコレートを渡す日。
去年までの僕には縁がなかった。でも今年は…?
猫田さんがわざわざこのような話題を振ってきたからには僕もチョコレートをもらえるのではないかという淡い期待があった。
少しだけ期待を込めた目で猫田さんの方を見る。
「フフッ」
彼女はまたもや意味深な顔をして僕を見つめてきた。
これは…本当に僕もチョコを貰えるのではないだろうか? そしてチョコをくれるという事は…猫田さんは僕の事が好き?
いやいや、待て、早まるな。チョコをくれるからといってまだ彼女が僕の事を好きだと確定した訳ではない。世の中には「義理チョコ」や「友チョコ」というものもある。
勘違い男になって、彼女に嫌われるのは嫌だった。
彼女の真意を確かめるのが怖かった僕はバレンタインの話題から話をそらす事にした。
「は、話変わるんだけど、この前ポッポがさ」
「鳩山くんが?」
共通の友人の話題を口にしながら僕たちは再び歩き始めた。彼女はクスクスと笑いながら僕の話に耳を傾けていた。
◇◇◇
※当作品は「お試し連載」となります。1週間ほど連載して評判が良いようなら本格連載に入ります。
※投稿予定
12/7(土)~12/13(金)は1日2話更新で7時と19時に更新します。
12/14(土)のみ1話更新で7時に更新。計15話。
面白そう、続きが読みたいと思って下さった方は作品のフォローと☆での評価をお願いします。
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