第44話 出発

訓練の日になり、朝からセンターゲート内は落ち着きのない……バタバタしていた。


俺は出発まで、待機するようにとの連絡があり、沙月さんがお茶を入れてくれて、結と一緒にのんびりしている。

「当日にバタバタされるのはいやね〜。」

「まぁ結、そう言ってあげるなよ〜」

「結さ〜ん、そうですね〜準備が出来てないのはだめですね〜」

「沙月まで…まぁこの施設の外での、訓練はここ、なさそうだし仕方ないかな?」


部屋で待っているとスマートフォンに着信があり、準備が出来たとの事で、ヘリポートまで来るようにとの連絡があった。

「?ヘリポートってどこ?」

「あ〜、そっか雄一は寝てたきりだったから、場所わかんないよね?最初にヘリで降りた場所よ。」

「あ〜チヌークで降りてきたとこね。たしかに道はわからないな。」

「私がわかるから、行きましよう。」

「さすが結、よろしくお願いします。」


部屋からヘリポートへ向かうと、そこには、自衛隊のMVー22オスプレイが2機駐機していた。

「お〜オスプレイだ、俺が知っているのは、配備するしないとかの情報しかなかったけど、配備してたのか。」

「そうですよ〜。配備し始めたのは〜最近ですが。」

オスプレイを見ていると、機体のかげから、人が近づいてくる。

「相楽君来たか?」

「お疲れ様です。松岡所長。」

「今日は頼むよ。色々と大変だと思うから。」

「色々と?ですか?」

「あぁ、ないしょ話になるが、魔法の訓練をするからと、政府の高官が視察にくるようなんだ。申し訳ないが珍獣扱いになるかも知れないので、そのつもりでいてもらえれば…な?」

「あ〜はい。気をつけます。」

(沙月や結に聞かれなくて良かった。なんか、2人共はこういうたぐいの話をされると、機嫌悪くなるしな。)

松岡所長と話をしていたら、沙月が近づいて………警戒している?

周りを見渡すと、ガタイのでかいイケメンオヤジが近づいてきていた。

「『マールス』さん、おはようございます。」

『おう、ユウイチ。』

「雄一さ〜ん、この方は誰ですか〜?」

「この方はマールスさんと行って、フローティア王国の師団長で、俺の上司です。」

「ユウイチ、そっちの女性はここの軍隊か?」

「軍隊と言うか、俺の彼女で、警護かな?」

『彼女?警護?』

「マールス様、いつもお世話になっております。相楽悠一さんとお付き合いをしております。卯花沙月ともうします。よろしくお願いいたします。あと今は自衛隊員として、悠一さんの護衛担当を拝命しております。」

(おお〜久々の卯花曹長モードだ。

ってか、今日は沙月さんは自衛隊の制服姿だし。自然とそうなるのかな?)

「そうでしたか、ウノハナ殿?サツキ殿でもいいかな?ユウイチの彼女?ということは嫁か?それはめでたいですな。おめでとうございます。ユウイチもおめでとう。」

「まぁ、ありがとうございます。『マールス』さん。」

「そういえば。『マールス』さん、今日は『セレス』さんは?」

『いるぞ、あちらで話しをしてい……来たぞ。』

『ユウイチ〜!げんき〜?』

「元気ですよ〜『セレス』さん。今日はよろしくお願いします。」

『ユウイチ、これ(オスプレイ)はすごいね。いま、飛ぶ原理?みたいなのを聞いたけど、分からなかったよ。』

「まぁ原理は揚力とか色々あるからな…おれもわかんないなぁ…。もう行けるのかな?」

『これに乗るの楽しみだよね。』

「楽しみだけど、これ凄くうるさかったはず。」

『え〜、そんなにうるさいの?』

「確かうるさいと聞いたことがあるよ。」

『あ〜なんか乗りたくなくなってきた〜。』

セレスさんと雑談をしていたら、準備が出来たとの事で、乗るように促され、俺と結、沙月は一緒の機体に乗り、セレスさん、マールスさん、松岡所長はもう一機の機体に乗り込んでいき、センターゲートから出発した。

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