第114話

「ニート問題は納得した。この男女比はどうにかならないのか?」


 エスリメの男女比は7:3で男が多い。

 三割の内の女性の九割が既婚者で九分が子供だ。

 つまり独身の年頃の女性は1%しかいない。


 なぜならば、エスリメに移住した女性の殆どが家族連れで、独身女性があまり来ないからだ。

 その理由がいまいち分からない。

 女が勝手に動いてはいけない文化でもあるのかな?


「美容品と化粧品の専門店やエステサロンを設置するとよいでしょう。この国には女性をターゲットにした施設が少ないですから」


「BL本は?」


「腐女子が増えるでしょう。まあ置いても問題ありません…………ん?今のはふざけて言いましたか?」


 さっそくそれらの施設を設置すると、女性冒険者や主婦層に噂が広まり連日行列ができたので、二号店、三号店を展開した。


 一週間がすぎる頃には、王侯貴族の使いが来て爆買いしていった。

 どうやら貴婦人方の耳に入ったようだ。

 ここで困ったのが各国の金の扱いだ。


 DPがあったら大抵のものが揃うエスリメでは通貨は必要ないので、DPに換金された金がひたすら貯まり続けて総額(国によって通貨が違うから日本円に換算すると)50億円程になっていた。


 まだ建国して一、ニ週間でこれだけ貯まるとなると、このままでは他国の経済が停滞してしまう。

 どうにかして金を吐き出さないといけない。


「孔明、どうしたらいい?」


「輸入すればいいでしょうが!何でもかんでも聞かないでください!」


 何を買ったらいい?と続けて聞く前に怒られてしまった。

 仕方ない。いろいろ紙に書いて後で均と一緒に決めよう。


 うーん、まずは特産品の作物、ショップには地球の作物しかないからな。

 次に…………やべえもう思い浮かばない。いや、考えろ考えろ……………………工芸品はどうだ?


 あとは本。宝石は……いらないよなあ。まあ買っとくか。単価がでかいから簡単に金を消費できる。


「結局特産品ってことだな」


「あーい」


「あっ!」


 宝石で思い出した!俺はまだ作ってないものがあった。


「ユースケ様ぁ、どうしたんすか?急に俺たちを呼び出すなんて」


「そうですよ。私たち暇じゃないんです〜」


「…………」


 俺はゲーム部屋にいた3人のダンジョンマスターを呼び出してあるものを見せようとしていた。

 ダンジョンマスターは犬の獣人のゼカイ、シルフのキャロル、人族のセクメナ。


 セクメナは携帯ゲーム機をピコピコ操作しながら無言で付いてくる。

 何でこの3人かというと、暇そうだったから。それだけだ。


 最近ダンジョンマスターたちは行動範囲が決まっていて、仕事してる奴らは街組、農地組、海組、工場組、教育組、観光地組と居て、見回りという名の散歩をしたり気まぐれに住人と一緒に作業をしたりしている。


 この仕事組に対するのがこいつら娯楽組だ。

 図書館組、ゲーム組、テレビ組、食堂組、全部ふざけてやがる。働けよ。

 しかもこっちのほうが圧倒的多数だからな。

 自分のダンジョンはそれなりにいじってるみたいだが、それ以外は完全にニートだ。


「いいじゃないか。皆忙しそうだから俺が作ったのを見せれるのがお前たちくらいしか居ないんだよ」


「うぃー」


「まぁ、そういうことなら……」


 誤解されないために言っておくが、この三人はニートだが決して弱いわけじゃない。

 ジョーカーとのバトル時にアダマンタイト装備のヒューマンスライムがそれぞれ一人ずつ、こいつらにやられている。


 ランクで言うとそれぞれSS以上の実力は持ってるのだ。

 だから本当に悪いのはこいつらが堕落する環境を作った俺だ。

 あれ?どうして自分を悪く言ってるんだ?


 三人を連れて行った所は新設したフロア。


「ここだ」


「……………………は?」


「きゃー!」


「す、すごい」


 セクメナですらゲーム機をしまって見惚れるのは、巨大な宝物庫。

 金塊の山に宝石の海。所々にアダマンタイトの剣やぞ防具を置いて、更に先輩作の魔剣や聖剣も贅沢に床に刺したり転がしてある。


「ゃー」


 ワーニャがあまりの眩しさに目を覆うが口元はだらしなく緩んでよだれが垂れる。よっぽど気に入ったらしい。

 成長したらずっとここに来そうだ。


 他の赤ちゃんたちは財宝には目もくれず、哺乳瓶を指差してミルクを要求する。

 三人はまだ放心状態なのでしばらく待ってると、突然宝の山の一つが動いた。






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