第110話
この世界の国の首都の人口は5万〜15万人が普通であり、国全体でも50〜100万人の人口の国がほとんどだ。
けど、最近調べたがこの世界の人族の大陸の総人口と地球の総人口ははあまり差はない。妖精族等人族以外の人口も合わせると地球の倍以上は居る。
国の数はかなり多い。
なぜならばこの世界の面積が広いからだ。
と言う訳でエスリメの今の段階収容可能人口を教えよう。
居住区500万人、農業区画30万人、水産業区画20万人、工業区画15万人、学校区画30万人、観光区画15万人だ。
全区画を含めると計600万人以上収容可能なエスリメがどれだけ巨大なのかが分かるだろう。
ダンジョン全てを国土とするならば全世界の地下はほとんど全てエスリメなのだ。
人口はまだ数百人だが、モンスターを含めるとその規模はどの国も無視できない。
何が言いたいかと言うと、招待客は全員来たということだ。
招待していない冒険者や商人、ダンジョンの入り口に近い物好きな村人たちもやってきた。
使節を送ってきた他の国は招待していないのだが、身分を隠した重臣や密偵が沢山来ていた。
人族以外の種族が居るのがその証拠だ。
老師には今日は全員通せと伝えてある。犯罪をしようとしたらゴーレムに止められるし、ちゃんと国に情報を持って帰ってもらいたいからな。
それとエスリメに入国した全員に300DPを今日だけ渡している。
お土産も買い放題だ。
それとこれは招待客だけだが、ホテルも用意してある。
建国宣言が終われば条約の締結等細々とした仕事が待ってる、と孔明に言われた。
宣言まで後数分、さっきから心臓の鼓動が激しいままだ。
「ユースケ様、緊張してますかの?」
「老師……」
俺は昔から大勢の前に立つのが苦手だ。
教室で発表が噛み噛みになるし、文化祭の合唱コンクールでは足がガクガク震えた。
「老師、今日は何人来たんだ?」
「十万人ですな」
「吐きそう」
頭が真っ白になって原稿を落としそうになる。
練習のときとは違う。本番の緊張。
俺はこれが嫌いだ。
「ゔぁーあ」
「あ、パパって言ったよな?老師、ティルがパパって言ったぞ!」
「ほっほ、緊張は解けましたかの?」
老師の言葉にハッとした。
俺はこの子たちが励ましてくれたような気がした。
「そう、だよな。情けないパパじゃかっこ悪いよな…………この子たちに恥じるようなことは俺はしたくない」
「一皮剥けましたかの」
その時孔明のアナウンスが俺を呼ぶ。
子供たちをギランに預けて演説台の方を見た。
「よっしゃあ!行くぞお前ら!」
「はっ!」
幕裏からでも聞こえてた人々の声が、前に進むたびに大きくなる。
俺が演説台に立ち、左右にダンジョンマスターたちが並ぶ。
ヴァイオレットたちは居ないので、代理のヒューマンスライムに変身してもらっている。
マイクをつけると俺の巨大な立体ホログラムが左後ろに浮かんだ。
これ魔法じゃないんだよ。
たまーにこんなオーバーテクノロジーがショップにあるんだよなぁ。先輩に世界観の概念はあるのだろうか?
俺は軽く呼吸を整えて口を開いた。
「本日はここまで来てくださった皆様にはまずお礼を。ありがとうございます。私はスライムダンジョン、ダンジョンマスターの五十嵐雄亮です。宣言の前に、一つ皆さんに話をさせてください」
そこにいる人々は何だ?と俺の言葉を聞こうと耳を澄ました。
「あるダンジョンマスターが居ました。
そのダンジョンマスターは人間に襲われないように様々な手を尽くしてきました。
しかし彼は人間と共に生きるという考えはありませんでした。
ある日、彼の敵のダンジョンマスターが勝負を仕掛けてきました。
彼は戦いに勝利しそのダンジョンマスターを仲間にしました。
彼の仲間となったダンジョンマスターには夢がありました。
種族関係なくすべての人々が幸せになれる街を作るという夢です。
その話を聞いて彼も………………私もそのような街があるならばと、夢見るようになりました。
人と妖精と獣人と魔族の子どもたちが共に学び、ともに食事をし、共に遊ぶことができる国を私は望みます。
誰も飢えることのない豊かな国を私は創ります。
この国を踏みにじろうとする者には屈しない!そのような者たちがいれば、私たちは己の誇りと命を懸けて戦います。
人々の持つ自由を私は奪わせはしない!
私はそのような国を作りたい………………ここに私はエスリメの建国を宣言します!」
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