第40話 幕間1

 それはそれとして、と伊織が話を脱線させる。


「君の衣装、面白い格好だね」


 俺が着せられているのは、古代ギリシャ風の布を身体に巻きつけたような衣装で、足元はひざ丈ほどしかなく、古風なサンダルを履いている。


「似合わないって言ってる?」


 と尋ねると、伊織は首を振る。


「君のを見るの、はじめてだから」


 一瞬、呆気にとられたのを、伊織はドン引きされたと勘違いしたのか、あたふたと言い訳を始める。


「いや、その別に深い意味はなくて、ただはじめてだなあ、という感動というか、そういう小さな感慨がだね……」


 次第に、伊織の顔が赤くなっていき、ついには両手で顔を抑えて、黙り込んだ。あげくの果てに、


「君のの形、きれいだと思う」


 という爆弾発言までこぼした。


「脚フェチだったとは……」


「……いや、今までそんなこと、なかったはずなんだけど」


 と、伊織は自分でも混乱している様子だった。

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