第15話 探偵ごっこ?
瑠璃垣りんねの金髪は、地毛らしい。
教室に彼女を訪ねたけれど、たいていは三時限目まで出席しないか、定刻通りに登校してきても、午後には帰ってしまうことが多いとのことで、その日は会えなかった。
クラスメイトに話を聞いたが、特に親しい友人もおらず、誰に聞いても彼女のことをよく知らないと答えた。ただ、彼女の母方が北欧の出身らしい、という噂だけが有名だった。
もしかすると、彼女は緑川とよく似ているのかもしれない。
瑠璃垣が、緑川を気にするのは、そのあたりに理由があるのだろう。
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「君は私と一緒にいられないと言ったけれど、私が側にいたいという気持ちは否定できないだろう?」
という理由で、緑川は度々、俺を訪ねてくる。
「緑川が瑠璃垣と話すようになったきっかけは何だった?」
「その緑川というの、やめない?」
「いや、ちゃんと筋は通さないと」
緑川はむくれたが、話してくれた。
「彼女、よく図書室で時間をつぶしていたんだ。手持無沙汰にしていたから、本をおすすめしてみたってだけだよ」
「それだけ?」
「君も知ってる通り、図書室はいつも暇だから、少しおしゃべりもしたかな」
緑川は思い出すように、視線を泳がせて、
「私が綺麗な髪だねって言うと、瑠璃垣さんは、私の瞳が綺麗だって言ってくれたな」
と笑った。
「それから、時々話すようになって、いつだかすすめた本を読んだって話してくれた。感想を言い合って、それで思いついたんだよ。本を一冊読み終わったら、図書委員からシールをプレゼントする企画を」
本を読んだだけで褒められたのははじめてだ、って瑠璃垣さんが言っていたんだ、と緑川は言う。
俺は、楽しそうに話す緑川に嫉妬を覚えないではなかったけれど、ほほえましい話だと思って聞いていた。
「おすすめばかりしてるんだな」
「君がきっかけだよ」
首を傾げると、緑川は、自覚ないんだねえと拗ねた。
「駅前の書店に行ったとき、君がおすすめを教えてほしいって言ったじゃないか。あれが、楽しかったんだよ……」
結局、俺が自分で蒔いた種だった。
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