第7話友達
あの話から1週間が経った。
あの話というのはご近所さんの娘さんを1週間預かるという話のことだ。
つまり今日から1週間ご近所さんの娘さんがうちに預けられるのだ。
リンによると昼前頃に来るらしい。
「お母さん、部屋はどうするのですか?」
「ん?部屋?部屋ねどうしようかしら。」
うちにそんな部屋なんてねぇぞ。
うちは1階には玄関&リビング&キッチン、父の部屋、母の部屋、お風呂(?)部屋(でっかい桶があるだけ。)、物置、2階には、
物置や武器部屋(?)に入ってもらうわけにもいかないだろう。
いやまさか、まさかだ…………。
「そうだ、レナの部屋に入ってもらいましょ。レナと一緒に。」
嘘だろ……。そのまさかが的中した……。
「でもっ……ベッド2つだと狭いんで、僕は物置で寝ますね。」
「子供なんだし、一緒のベッドで寝ればいいじゃない。」
リンがあきれた顔で言う。
「…ッ…………!!」
一緒のベッドだと!?気まずさが加速するではないか…………。
言い訳………何か言い訳を…………考えねば………………
コンコンコンッ
「ロドリーグさん?」
あぁ、ローズさんの声だ…。
「来たわね。」
リンは一言いうとすぐに扉を開けた。
ガチャッ
『こんにちは~。』
リンとローズさんの声が重なった。
だが子供が見当たらない。
するとローズさんの後ろから出てきた。
「レナくん、人見知りだけど仲良くしてあげて頂戴。」
「は…はい。」
ロレーナという少女は母親に似て可愛らしいかった。
髪はサラサラとしていて背丈は俺より少々高く脚が細………俺キショイな……。
「では、よろしくお願いいたします。」
「はい、お仕事頑張ってくださいね。」
ガチャン
「え~と、ロレーナちゃんだったわよね。私はレナの母のリン、よろしくね。」
初めにリンが自己紹介した。
「はい……。よろしくおねがいします。」
緊張しているのだろう。
よしここは俺が明るく自己紹介してやろう。
「僕の名前はレナード、気軽にレナって呼んでください。僕の年上と聞きましたのでなんでも言ってください。よろしくおにぇっ…………。」(めっちゃ明るい声)
噛んでしまった……。
「よろしくお願いします…………………。」
やばいめっちゃ恥ずい。
どうしよう、そんなことを考えていると、
「ふふっ……あははっレナードくんって面白いね。ボクはロレーナ、レナって自己紹介しようと思ったんだけどかぶっちゃった。」
良かった、この子は思ったより明るい子だったみたいだ。
ボクっ娘か。(意味深)
「改めてよろしくお願いします。ロレーナさん。」
「よろしくロレーナって呼び捨てでいいよ。あと敬語じゃなくてもいいよ。」
いやいきなり呼び捨てはちょっと…………。
「ロレーナ…………さん。」
「じゃあボクはレナくんって呼ぶね。」
おう…………。
「2人とも仲良くなるのが早いわね!じゃあ私はお昼ご飯の用意してくるから!」
『……………………。』
やっぱりリンは行動が早いな…………。
だが良かったこの1週間は乗り切れそうだ。
部屋以外は……。
「2人ともー!ご飯の準備できたわよーー!!」
『いや早っ。』
声がそろった。やはり俺の個性的な価値観ではないのだろう。
「座りなさーい!」
「はーい。」
『いただきます。』
俺たちは声を合わせて言った。
「どう?美味しい?」
リンはドヤ顔でロレーナに聞いた。余程自身があるのだろう。だが
「…………………。」
ロレーナは黙ったままだった。
リンはしょんぼりとしてしまったが少し間をおいてコクリとうなづいた。
この子は大人とコミュニケーションをとるのが苦手なようだ。
しばらくそんな空気が流れた。
「そういえば、ロレーナちゃん1週間部屋はレナの部屋使って。」
「!…はい。」
やはりこの歳頃の女の子は相部屋とか同じベッドとか気にするのではないか。いや俺が気にする。
そのようなことを考えているとロレーナはニヤリとした表情でこちらを見てきた。
気にしてなさそうだ。なんならわくわくしていないだろうか。
そんなことをしながらお昼ご飯を食べ終える。
『ごちそうさまでした。』
そしてロレーナと一緒に食器を片付ける。
すると話しかけられた。
「ねぇ、レナくん。」
「はい。」
「レナくんって友達いるの?」
「いません。」
「なんで?」
子供は時に残酷なものだ。
無意識に精神攻撃をしてくる。←(?)
「まぁ、生まれてから家の敷地から出たことありませんから。」
そうだ、俺は転生してから家から一歩も出ていない。
「じゃあ、ボクが最初の友達になる!いい?」
「え?」
「だから、ボクがレナくんの最初の友達になるの!」
「はぁ。」
「だめ?」
ロレーナが目を潤ませてこちらを見てくる。かわいいかよ。
「まぁ、い…良いけど。」
「やったぁ~あと友達なら敬語やめて?さん付けもね!」
ロレーナさんよ、これが親しき中にも礼儀ありってやつなのだよ。
だが俺は切り替えの早い
「えぇ~絶対に?」
「絶対とは言わないけど出来るだけやめてね!」
「はぁ~い。」
「また敬語使った!」
「えぇ~。」
良かったこの子とは仲良くやっていけそうだ。
「もう仲良しなのね~早いわね~。」
リンが保護者の眼差し(?)でこちらを見ながら話しかけに来る。
そして耳元で囁いてきた。
「レナ、こんなかわいい子が友達だなんてやるじゃないの。」(小声)
もうこの人だめだ。
目がマジ(?)だもん。
今日から1週間、この調子で頑張って行くしかなさそうだ。
せっかく転生したのに、どうやら俺には魔力がないらしい 天宮 レイ @Saku1211
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