21、愛を誓う双子夫婦
ダブル首席を取ったゲニーとアンジュが四人の勝負に勝ったのだが、アンジュの功績が高いとゲニーはアンジュに勝ちを譲った。勝負で勝ったアンジュに何をお願いしたいか聞いたところ、特に今はないと言い、お願いごとはいつかに取っておくことになった。
無事四人は卒業を迎えた。そして桜の花が満開になり、暖かい陽気が心地よい季節になった。婚姻の日にめでたい、桜の月花の日である今日、ヴァイスハイトはデーアと、ゲニーはアンジュと式を挙げる。
エーデルシュタイン王国で一番大きな教会のバージンロードを薄い蜂蜜色の髪を結い上げ、それぞれの夫の瞳の色の宝石をちりばめたティアラを付けた美しい花嫁たちが並んで歩く。
二人の白いウエディングドレスはデザインが異なり、デーアは首が詰まったデザインのレースで出来た長袖に、この国の女性では前代未聞の下の下着が見えるか見えないかスレスレの丈のパニエ生地で後ろになるにつれ丈が長くなるスカートの上に足元までの長さのレースのスカートが重なった二重構造のドレス姿、アンジュはたわわな胸が今にもこぼれ落ちてしまうような胸元が大きく空いているチューブトップの、ウエストから裾にかけてフレアーで広がっていて細かなパールが縫い付けてあるプリンセスラインのドレス姿に身を包む。完全に夫の好みに仕上げた特注の際どいウエディングドレスが出来上がったとき、大勢の前でこれを着るのかとデーアとアンジュは頭を抱えた。だが白の礼服を試着した美丈夫の夫を見て、この人の隣を歩けるなら着るのも悪くないかと腹を括ったのだった。
「指輪の交換をしてください。そのあと、誓いのキスを」
神父が二組の新郎新婦に述べる。
ヴァイスハイトがデーアの、ゲニーがアンジュの左手の薬指に結婚指輪をはめる。シルバーのアームに深海のようなラピスラズリと若葉のような輝きのペリドットの宝石が一つずつついた指輪はヴァイスハイトとデーアの瞳の色を連想させ、シルバーのアームに燃えるようなガーネットと透き通る水のようなアクアマリンの宝石が一つずつついた指輪はゲニーとアンジュの瞳の色を連想させた。
「綺麗……素敵。ヴィー、ありがとう」
「嬉しい……大切にするね。ゲニー、ありがとう!」
花嫁二人は照れながら上目遣いでお礼を言う。
白いウエディングドレスを着ながらの可愛い仕草に、ヴァイスハイトとゲニーはたじたじになってしまった。
そしてデーアはヴァイスハイトの、アンジュはゲニーの左手の薬指に指輪をはめる。
「一生大切にすることを誓う。デーア、愛してるよ」
「私もヴィーのこと愛してるわ。一生大切にしてね」
ヴァイスハイトはデーアをお姫様抱っこし、キスを落とした。
「一生君だけを愛すると誓うよ。アンジュ、愛してる」
「私もゲニーのこと愛してるよ。浮気したら火だるまにするからね!」
ゲニーはアンジュを抱き上げ、唇を重ねる。
この日こうして参列者から盛大に祝われながら二組の夫婦が誕生した。
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