19、実技試験のイレギュラー(☆)

 今年の最終実技試験は近年世界の東の果てで発見されたドラゴンの子供を戦闘不能にするまでのタイムを計るものだった。殺してはいけないことと、戦闘不能なら凍らしたり眠らしたりしてもいいこと、戦闘不能にした後は魔法団から特別に派遣された魔法治癒士に治癒を頼むことがルールだ。ドラゴンの子供は二十匹用意され、大体の子が1メートルほどの背丈であった。学年の生徒の数は丁度百人で一匹に対して五人の生徒が戦う計算になる。一体一で戦うのが基本だが、配点が下がっても良ければ複数人で戦うのも認められている。戦う順番は前回の実技試験の最下位からで最後に前回優勝者であるゲニーが戦うことになっている。


「私が次だわ」


 とうとう前回実技試験の順位が四位のデーアの番になり、子供ドラゴンと対峙たいじする。魔獣であるドラゴンといえども生き物を虐める趣味の無いデーアはドラゴンを魔法で眠らせ、三十秒でタイムアップさせた。


 学年一早いタイムをたたき出したデーアを見て、ヴァイスハイトが嬉しそうに微笑む。デーアのこの一年の頑張りを一番近くで見ていたヴァイスハイトは自分の事のように嬉しいのだ。


「だが……これはこれだ。優勝を譲るつもりはない」


 ヴァイスハイトは仄暗い笑みを浮かべた。


 次に前回の順位が三位のヴァイスハイトの番になり、始まりの合図が鳴ると同時にヴァイスハイトが詠唱しドラゴンのサイズに合わせた針が宙に現れ、ドラゴンの急所を打った。そしてドラゴンは鳴き声をあげて眠るように倒れた。その時間はたった十秒で、ヴァイスハイトの緻密な計算と計画を感じ取れた。


「けっ。だからヴィーを敵に回すと嫌なんだよ。僕はヴィーより頭の回転の速いやつはしらねぇ。ドラゴンが傷付くのを最低限に抑え、尚且つ瞬時にタイムアップさせる方法を練ったな」


 ゲニーは悪態をつきながらヴァイスハイトを手放しに褒める。


 次は前回の実技試験二位のアンジュの番になろうとしていたら、なにか異変が起きたのか周囲がざわめき出した。


「大変だ! ど、ドラゴンが! ドラゴンの群れが襲ってくる!」


 頭上には数十匹を超えるの成獣のドラゴンが空を埋めつくしている。ドラゴンは口から炎を吐き出し周りを焼きつくそうとし、生徒たちは逃げ回るしかない。教師たちは生徒を守りながらドラゴンと戦うことになった。


「ヴィーとデーアは生徒を避難させて! 僕は先生達と共に応戦する! ここで逃げたら稀代の天才魔法使いの名が廃るからね!」


 ゲニーはいつものようにニヤリと笑い、ドラゴンの群れに向かう。


「ゲニー、気をつけろよ!」

「アンジュを泣かせるマネはしないでよね!」


 ヴァイスハイトとデーアは弟の無事を祈りつつ、生徒を誘導し避難させる。


 一方アンジュは一人逃げずに、囚われ実技試験に使われてた子供ドラゴンの治癒に当たっていた。


「ごめんね。お母さん達の所へ返してあげるから」


 あたたかい光で治癒魔法を施し、子供ドラゴンはキュウキュウとアンジュに懐く。アンジュが心から詫びていることを感じ取ってるようだった。


 ゲニーは自身の魔力を最大限放出し、ドラゴン達を一匹、また一匹と倒していく。ゲニーも嗜虐趣味はなく、急所を狙いドラゴンがなるべく傷つかないよう意識を失わせていく。それはただ倒すことより労力がいることで、その分魔力の消費も激しい。ゲニーの顔はだんだん険しくなり魔力も尽きそうになった。その場を教師たちに一旦託し、ゲニーは子供ドラゴンを治癒しているアンジュに駆け寄った。


「アンジュ! 魔力ちょうだい!」

「え? 魔力ってあげられるの?!」


 魔法学でも魔力が他人にあげられることは習っていない。アンジュはその発言に困惑してるとゲニーに押し倒された。


「僕の研究結果によると、体液を貰うことで魔力を回復することが分かったんだ。だからアンジュの体液ちょうだい!」


 押し倒されたまま無理やりキスをされ、ゲニーの舌がアンジュの口内を蹂躙する。


「ん! こんな、ところで! やめて!」

「大丈夫、今五分だけ時を止めてるから」


 アンジュは自分の口内を美味しそうに味わいペロリと舌なめずりする目の前の人の発言に目を白黒させた。


 周りを見るとドラゴンや戦ってる教師たちも、逃げ隠れした生徒たちも時が止まったように動きが止まっている。ゲニーは本当に時を止めたのかとアンジュは驚き、この人に作り出せない魔法はないんじゃないかと思った。


「ね? だからアンジュがあられもない姿になっても大丈夫だよ。いっぱい乱れて僕に体液ちょうだい」


 ゲニーは満面の笑みでアンジュを見つめる。既に身にまとっていた服は魔法で消え去り、アンジュは一糸まとわぬ姿にされていた。


 ゲニーはアンジュの胸を揉みしだきながら唇にかぶりつき口内をジュルジュルとすする。唾液を堪能した後、アンジュの両ももの裏に手をかけ持ち上げ秘所が丸見えになる。顔をキスでとろとろとなった果肉に埋め、溢れ出る愛蜜を音を立てて啜っていく。


「ゲニー、ちょっと! ん! 嫌! やめて! んん!」


 その行為はほとんど無理やり犯してると言ってよいもので、アンジュは凌辱りょうじょくされ、怒りが湧いてくる。その反面、誰かに見られてるかもしれないという背徳感と、愛する人から無理やり犯されてることに少なからず幸せを感じてる自分がいることに気付く。


「やぁ、ん、あああー!!」


 体は素直に感じてしまい、アンジュはぷしゃっと潮を吹いてしまった。


 複雑な気持ちがせめぎあい、アンジュは涙が止まらなくなる。アンジュが泣いてることに気付いたゲニーは慌てふためいた。


「え! どうしたの?! 啜ってるだけだけど、もしかして痛かった?」

「ひくっ、ゲニーのばかぁ! ばかばかばか! 最低! 強姦魔!」

「強……姦……」


 ゲニーはアンジュが思ってたよりショックを受けていた。ゲニーは魔法でアンジュに服を着せ、優しく抱きしめる。


「ごめん……酷いことをしたね。許してとは言わないけど、これから償わせて。もうアンジュの嫌がるように抱かないから」


 ゲニーは眉を落としてシュンとし、叱られた犬のようになった。


 十分反省の色が見られたのでアンジュは口を開く。


「確かに無理やりは嫌だったけど……ゲニーなら嫌じゃない。少しは嬉しかった」


 それは要するに無理やりされて嬉しかったと告白したようなもので、アンジュは自分はなんてことを言ってしまったのかと顔を真っ赤にする。


「うん。こういうのはたまにしかしないことにするから安心して」

「たまにはするのね?!」

「アンジュが嫌がるプレイはしないから」


 ゲニーはにっこりと笑う。アンジュはゲニーに心底惚れてる自分を恨んだ。惚れた弱みとはこういうことかと痛感するのだった。


 アンジュの愛液をたっぷり味わったゲニーは魔力を回復し、時を止める魔法を解除してまたドラゴンの方へ向かった。

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