裁くとは何か、人が生きるとは何か

物語は、『総合調整局』という法では裁けない悪を裁く組織に所属する宮本と志水が、事件を解決していくという流れで進みます。

度胸と愛嬌と豪運の宮本と、冷静に状況を読んで的確に指示を出す上司の志水。
神谷は、俳優でありながら特殊な事情で組織と協力関係にあり、その圧倒的な演技力で事件解決を助けます。

読んでいただけるとわかるのですが、役割としてのキャラクターではなく、彼らが"生きている"と感じられるのです。

登場人物それぞれの過去や心の傷が、単なる設定ではなく、「彼らが今ここにいる理由」として自然に物語の中に息づいています。
そして、「彼らがなぜ今を生きているのか」という核心に関わってくる。

人が罪を犯し、それを裁くという行為の中に、正義と悪だけでは割り切れないものが存在します。
彼らは単なる正義の執行者ではなく、もっと曖昧で、もっと人間らしい葛藤を抱えた者たちです。

この三人の関係は、最初は「上司と部下」「外部の協力者」といった単純なものに見えます。
しかし、物語が進むにつれ、それぞれの関係性が絡み合い、影響を及ぼしながら変化していきます。

この物語を読んでいると、彼らの"これまで生きてきた時間"と、"いま生きている時間"、そして"これから生きていく時間"が、確かに存在していると感じられるのです。

この小説のもうひとつの魅力は、文章の在り方です。
重厚な描写や長々とした説明はありません。むしろ、軽やかで、すっと読めてしまう文章。
そのなにげないの言葉の中に、キャラクターの微細な変化や、息遣い、目線の動きまでが織り込まれています。
まるで、ただ彼らがそこに生きて動いているのを、さっと写し取ったようです。

ただのフィクションではなく、そこに生きている人間たちがいる。
そう思わせてくれる小説です。

ぜひ、多くの人に読んでほしいです。

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